近江の御隠居の趣味録

時代劇関連や刑事ドラマ関連、モデルガン、十手関連、ドール、figmaやその他の趣味用のアカウントです。更新頻度と共に修正頻度も高いですが、ご容赦ください。

仕込み十手

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お題「手作りしました」

『御用牙』の存在は知っていて、そこで『南蛮一品流鼻捻』が登場することも、十手好きとして当然確認しております。

ただし、劇画と時代劇では結構異なります

 

 

 

 

◉南蛮一品流鼻捻

『南蛮一品流鼻捻』とは、『なんばんいっぽんりゅう はなねじ』と読みます。

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「ナワ・ユミオ捕具コレクション」に実物と思われるものの写真があり、また説明も載っています。

南蛮一品流鼻捻

先端空洞部と棒身全体を、三枚の鍛鉄鉄筋で囲い、四方にはみ出した十手鉤をつけている。

長さは一尺八寸(58糎半)、直径一寸(約3糎)の丸棒一尺八寸のうち、手元四寸(14糎半)で六角形になり、握柄になっている。

先端の鉄蓋を捻ると蓋が外れ、十手を打ち振るうと分銅付きの鎖が降り出される。

というものです。

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『南蛮一品流鼻捻』の通り、これは南蛮一品流の鼻捻です。

南蛮一品流の十手

南蛮一品流で『十手』と称するものは、棒身に鉤一個を貫き、反対方向に一文字状の横手を出し、横手と同方向の棒身打ち込みに小型の鉤を一個つけたもの。

このように、先生の事典にありました。

したがって、『南蛮一品流鼻捻』が正しい表記です。

 

まあこんな書きましたが、劇画版『御用牙』の十手は、『南蛮一品流鼻捻りというよりも『制剛流無空十手』に近い気がします。

制剛流無空十手

(せいごうりゅう むくうじって)

木製棒身に鉄鍔を付け、鍔に接して四方に張り出した鉄製四つ鉤を付け、棒身の先端四寸程を中空にして、分銅付きの鉄鎖を振り出すという、特殊な十手。

です。

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かみそり半蔵こと板見半蔵、彼の十手は、棒身に鉤が付いているというより、棒身に鍔鉤がついているように見えます。

また、分銅が蓋になっているのでは無く、棒身内側に収納されているように見えます。

そのためこれは『制剛流無空十手』に近いのではないかと思いました。

 

時代劇の御用牙の十手は、こちらです。

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琉球古武術に使われる、『釵(サイ)』の手の内に鎖を仕込んだものになります。

これでは南蛮一品流鼻捻でも、制剛流無空十手でもないですね。

 

 

◉製作物

上にあるように、刀奪いの鈎が4つ付けられた十手を作りたかったのですが、ありあわせの材料ではイマイチなフックしか無かったので、今回は「十手 ~破邪顕正の捕物道具~」に載っている、ただの仕込み十手を作りました。

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※当方趣味でこのような十手を作っただけですので、決して何かに使用するなどは致しません。

 

ではでは、その仕込み十手がこちらです。

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一見、ただの鍔十手のように見えます。

しかし、先端が妙な形です。

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そうです。

ここを抜くと、中から鎖が現れます

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分銅鎖を仕込んだ鍔十手というものです。

このタイプの鍔十手は1つも持っていないので、ただの鍔十手にする事も考えました。

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しかし、どうせなら御用牙:隠密廻り同心・板見半蔵『南蛮一品流鼻捻り十手』っぽくしたかったので、鍔十手に分銅鎖を仕込んだ物を作りました。

少し拘ったところもあり、握柄(にぎりえ)こと手の内持ち手の部分は、細い糸を3重に巻いて握り心地を良くしています。

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太い糸を1重で巻いた時より、握った時の感触が、良い気がします。

また、鍔と棒身の間には、防虫用銅テープでハバキを模しています。

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さらに、分銅がすっぽ抜けないように、棒身内側をレジンで狭めて日本刀で言う『鯉口』のようにしています。

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今のところは問題ありません。

ただ、鯉口は経年劣化で緩くなるので、いずれはレジンを追加する事になると思います。

かみそり半蔵は、他にも六角形の十手も持っていますので、それも。

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六角形の十手は黒い房紐なのですが、それは今他の十手に使っているので、赤い房紐をつけています。

 

 

 

 

前述しましたが、私は趣味で十手を作っているので、それで何かをする事は絶対にありません。

仕込み十手、時代劇的に有名なのは、『岡っ引き どぶ』の仕込み十手ですかね。

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私は田中邦衛さんのどぶを見た事があります。

邦衛さんのどぶは、連続ドラマ版と時代劇スペシャル版で、仕込み十手の十手自体の形状が、少し異なりましたね。

必殺シリーズ:もう一つの『仕込み煙管』

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仕込み煙管...

必殺シリーズでは、意外と少ない暗器です。

有名なのは、やはりこの方の仕込み煙管です。

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助け人走る:辻平内

です。

彼の仕込み煙管は3種類あり、初期の羅宇自体が針になっているもの吸い口部分に細い針がついているもの吸い口部分に太い針がついているものとあります。

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長期間使ったのは、吸い口部分に太い針がついているタイプです。

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↑これは購入物

今回は、彼のものではない「仕込み煙管」を紹介します。

 

 

 

 

実は、この方も仕込み煙管を使用した事があります。

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必殺仕掛人

音羽屋半右衛門

です。

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ファンや見たことある方ならご存知の通り、仕掛人の元締です。

武器はこれと言って決まったものは無く、最終回では水平二連短筒を所持していたことも判明します。

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画像は座頭市と用心棒」のものを使っています。

元締の水平二連短筒は、確か白っぽい色だったと思います。

 

そんな元締が仕込み煙管を使うのは、必殺仕掛人第14話『掟を破った仕掛人という話です。

最愛の女房を人質に捉えられ、どうすることも出来ない元締は、最後の願いということで煙草を呑ませてくれと願います。

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短筒の火を借りて煙草を呑む時、瞬時に吸い口から仕込み針を、相手の手に刺して短筒を落とさせます。

この時に、元締の仕込み煙管が見られます。

 

画像を載せたいのですが、録画が全て飛んでしまったので、6年前に自分が作った物を代用で載せます。

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これは劇中プロップを基に作ったため、配色はこれと同じはずです。

雁首、吸い口は金色(真鍮製と思われる)、羅宇は黒色です。

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吸い口を取ると、仕込み針が登場します。

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この仕込み煙管は、同じような物を必殺橋掛人第10話『日本橋の地獄火を探ります』で、菊之丞(菅貫太郎さん)が持っていました。

 

 

音羽の元締こと音羽屋半右衛門は、他にも仕込み武器が多いです。

必殺仕掛人第5話『女の恨みはらします』仕込み釣竿

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映画版第1作目『必殺仕掛人仕込み扇子

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↑こんな感じ

仕込み扇子は何人か使いますが、扇子自体を鞘骨を柄にして、匕首の様にした仕込み扇子は、音羽屋の元締くらいしか使いませんでした。

 

 

 

 

仕込み煙管は音羽屋の元締辻平内くらいです。

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煙管自体は、虎田龍之介や、時計師の夢二も使うのですが、前者は喧嘩煙管後者は煙草入れに仕込んだ短筒という感じで、煙管に何か仕込んであるタイプでは無いため、ここでは省きました。

私的:オススメ市販品十手(偏見あるかも)

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十手...。

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私の投稿記事を読んで下さってる方ならご存知の通り、私は十手好きです。

まだまだ不十分な所だらけですが、名和弓雄先生の事典などで理解を深めています。

そんな私ですが、市販品の十手を購入したことが、十手との出会いであり、きっかけになった事です。

なので、本記事では私がオススメする『市販品十手』について、纏めようと思います。

 

 

 

 

まず、市販品十手とは...。

Amazon楽天などのネット上や、しのびや(店名)、おもちゃ屋、お土産屋などで購入可能な、一般的に流通している十手の事です。

市販品十手という名前は、私が勝手にそのように呼んでいるだけです。

 

 

ではでは...。

 

 

3種類ほどご紹介致します。

 

 

◉藤巻十手

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藤巻十手、仕置屋主水十手こと楠流十手の記事にも登場した名前で、その名の通り手の内(持ち手)に藤が巻かれている十手です。

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私は藤を取ってしまったのですが、藤が巻かれている時は、上画像の状態でした。

これは市販品では珍しい六角棒身で、縦型の鈎で、緒付環は水平回転環という実物の十手に多いものになっています。

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藤巻十手は他にも2種類ありますが、私はこの六角棒身の藤巻十手が1番好きです。

 

 

長谷川平蔵愛用十手

(鍔十手)

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名前の通り、長谷川平蔵仕様のこの十手です。

「ナワ・ユミオ捕具コレクション」にもあるこの豪勢な拵えは、とても存在感があり、実用性且つ芸術性も高いです。

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手の内は、まるで日本刀のような拵えで、握り心地は他十手より良いと思います。

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私は、まだこの十手を手にしたことはございません。

というか、欲しいです。

 

 

◉特大十手 紫房ver

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ここに来て、このどシンプルな十手です。

この十手を選んだ理由は、房紐の巻き方を変えると、ある十手のようになるからです。

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そう、黒門町の伝七の紫房の十手です。

市販品十手で劇中プロップ十手のように出来るのが良く、安価で購入できるため、これをオススメします。

 

 

 

 

まあ、これら市販品十手を買って、十手関連や十手術に興味を持つとこまで行くかは、その人次第です。

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しかし、十手の導入としては良いと思いますので、これらをオススメします。

決定版『仕置屋主水十手について』

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確信はしていたのですが、名和弓雄先生著『十手・捕縄事典 -江戸町奉行所の装備と逮捕術』を読み、99.9%まで来たので、改めて記事にいたします。

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自負するのはあれですが、この十手に関してはどの必殺ファンよりも知識を持っており、又研究をしていると思っています

◉関連記事

仕置屋主水十手 - 近江屋の御隠居の日録

 

 

 

 

前回記事では、置屋主水十手の使用例について触れました。

受け継がれていく仕置屋主水十手 - 近江屋の御隠居の日録

ここではそれに触れず、この十手の特徴と、実物十手ではどれに該当するのかを、再び記述いたします。

 

 

◉仕置屋主水十手の特徴

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ここで挙げた3枚が、分かりやすい置屋主水十手画像です。

当ブログをご覧になられている方なら、もうご存知だと思います。

以下に、この十手の特徴を記します。

全長約60cm、棒身は八角形で先端に行くほど面取りが大きくなっていて、若干先細り。

刀奪いの鈎は矩形で直角縦型、太くて厚い作りになっている。

手の内(握柄・にぎりえ)は四角形で全体に藤巻が施されている。

緒付環は三角形で、猪目と思われる形状で、付け根は円筒状になっている。

房紐は朱色で房数は2つ、作品によっては十手棒身に紐のが巻かれている。

と、このような感じです。

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中村主水の歴代十手の中でも、1番大ぶりに造られている十手です。

暗闇仕留人第10話「地獄にて候」で、悪人の手先の駕籠担ぎ2人を仕置する時に使ったりと、裏稼業でもちょくちょく使われています。

 

 

◉予想される十手

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この置屋主水十手、実物の十手では「八州番太十手」こと「楠流十手」になると思います。

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仕置屋主水十手について - 近江屋の御隠居の日録

ここで、その「八州番太十手」、「楠流十手」の特徴について記します。

まず、谷口柳造先生著『十手 -破邪顕正の捕物道具-』から。

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P.98「番太と捕具」の項に、こうあります。

楠流の十手は一尺八寸(約54~55糎)で、手の内は長さ四寸(約12糎)で八角作り、手の内には必ず藤が巻かれている。

「清目(棒身)」の部分も八角形で、先端にいくほど細くなっている。

刀うばいは縦型で大きく、目め副(緒付環)には緋色の切り房がついている。

 

次に、名和弓雄先生著『十手・捕縄事典 -江戸町奉行所の装備と逮捕術-』です。

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P73「八州番太の十手」の項に、こうあります。

総丈が長く、棒身直径が太く、丈夫な大振りの太刀もぎ鈎のついた十手を、一般には「番太十手」と俗称しているが、八州番太の十手は「楠流十手(くすのきりゅう じって)」とも呼ばれている特殊なもの(略)

総長一尺八寸(約54~55糎)、八角棒身、握柄正四角で藤巻き、鈎平形大振りで、鈎巾一寸(3糎)、横手内のり一寸一分(3糎3粍)。

銀磨きで赤絹紐二尺(60糎)を紐付環につける。

(途中略)

大振りな鍛鉄十手で、長さが一尺八寸あり、鈎幅が広く、握柄が正四角で、棒身が八角であれば「楠流十手」と鑑定して良いと思う。

途中略のところは、鈎幅が広い理由が記載されていました。

鈎幅が広いのは、竹槍や農具と言った刀以外の武器を絡め取るためだと、名和弓雄先生の書籍にありました。

また、「鈎巾」「横手内のり」は、こういうことだと思います。

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緑色が「鈎巾」赤色が「横手内のり」です。

十手は蒐集物から研究されていますので、若干の違いがございます。

違いは、手の内が四角か八角というところで、大きさや刀奪いの鈎などは、共通していますね。

 

 

◉実物との共通点

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まあ、共通点というか、私はここに注目しました。

大振りな鍛鉄十手で、長さが一尺八寸あり、鈎幅が広く、握柄が正四角で、棒身が八角であれば「楠流十手」と鑑定して良いと思う。

というところです。

置屋主水十手はそれ自体を画面でしか見たことがないため、全長については正直不明です。

自分が見た感じでは、60cmほどあるように思います。

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しかし、大まかな特徴は押さえています!!

ここで、一度「仕置屋主水十手」をどうぞ。

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名和弓雄先生の書籍と、ほとんど同じに見えます

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紐の長さも、当方が製作した仕置屋主水十手も60cmほどで、これは画像を見ながらなんとなく作ってその長さになったので、仕置屋主水十手も60cmほどの紐だと思います。

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大きく異なるのは刀奪いの鈎で、仕置屋主水十手は棒身との幅が狭いため、ここは異なるところです。

また、八州番太十手は先端にいくほど細くなっているのですが、仕置屋主水十手は細くなっているにしても、そんなに細くなっていないので、そこは同じ細くなっているにしても、少し異なる気がします。

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緒付環は、置屋主水十手は猪目(逆ハート型)八州番太十手は楕円なのですが、ここについての記述はなかったので、特に形に決まり事はないと思います。

房紐は、谷口柳造先生の書籍の特徴と同じに見えます。

 

 

◉結論

もう何を述べるか、お分かりだと思います。

少し異なるところはあっても、特徴は捉えていますので...。

私は、仕置屋主水十手を八州番太十手、楠流十手だと鑑定いたします。

 

 

7年前くらいに、ヤフオクで仕置屋主水十手が出品されていました。

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ぱっと見はそれっぽいですが、個人的には藤はただ巻かれただけですし、先端にいくほど細くなっていますので、仕置屋主水十手というよりも、八州番太十手を基に製作しているように見えます。

 

 

 

 

以上です。

これだけ資料や材料を集め、纏め、根拠も示しましたので、これは楠流十手だと判断しました。

全く関係ないのですが、先程斬り捨て御免!第2シリーズ 第3話」のラス立ちを視聴しました。

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そのため、近々うちの子も花房出雲っぽくなると思います。

続・右門捕物帖(NET 1974年版)後期OPについて

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突然ですが、先日、この書籍を購入しました。

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十手・捕縄事典

~江戸町奉行所の装備と逮捕術~

です。

あの時代考証家:名和弓雄先生の書籍です!!!

まだしっかりと見た訳じゃないのですが、サーっと目を通しただけでも十分凄く、また、右門捕物帖OPで登場したものと思われるものもチラホラ載っていました。

したがって、今回は再び右門捕物帖後期OPのついて触れます。

※1記事で纏めますので、長くなると思います。

◉関連記事

右門捕物帖・後期OPで思ったこと(1974年、杉良太郎版) - 近江屋の御隠居の日録

 

 

 

 

ではでは...。

 

 

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先ず冒頭のこのシーンから、名和弓雄先生の私物(と思われる)十手&劇中プロップ用十手のついて。

上画像左から...

  1. 世田ヶ谷代官:大葉彌十郎 所有の十手
  2. なえし(詳細不明)
  3. 一角流十手
  4. 真鍮銀流し十手
  5. 火盗改長官:長谷川平蔵の鍔十手
  6. 町方同心:官給品の真鍮銀流し十手
  7. 鍔十手(詳細不明)

です。

ここで、赤文字で明記した4.真鍮銀流し十手が、この「右門捕物帖」で杉良太郎さん演じる北町の近藤右門が使う十手です。

それ以外の1~3、5~7は、名和弓雄先生の私物十手、つまり「ナワ・ユミオ捕具コレクション」の一部だと思われます。

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劇中プロップ用十手のアップと同時に、メインタイトルである右門捕物帖の題字が起こって登場します。

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ここで、『一角流手棒目録』が写ります。

このシーンでは、目録のうち上画像の3つのみ画面に映されます。

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ここで、原作者の佐々木味津三先生や、スタッフ、出演者のクレジットとともに、開門する北町奉行所→捕物出役姿の近藤右門並びに他捕方が登場します。

ここで、杉良太郎さんが来ている捕物時の服装は、時代考証的に正しいと思います。

上の本でもありましたし、しっかり鉢巻で耳も隠していますし。

この衣装については、後ほど記事にすると思います。

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ここで再び『一角流手棒目録』、このシーンでは、一角流マロホシ並びに一角流や制剛流に伝わる鉄手具(鉄楯)が写ります。

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ここで、杉良太郎さん本人による鉤縄の実演になります。

相手の懐に鉤をかける縄を絡める縄を踏み相手を制すると言った感じです。

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ここで、なんと『南蛮一品流捕道具繪目録』が写ります。

捕物時に使用する、照明器具が描かれているようです。

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ここで、右門が十手で拾い上げて投げているものは、おそらく『車松明』というものだと思います。

車松明(くるま たいまつ)

一尺(約30㎝)ほどの長さの棒状松明を三本、中心を丈夫な紐で縛り合せ、先端が六方向に向くように、球状に固定する。

六つの先端に点火して暗闇中に投げれば、地上に転がっても消えることは無く、賊の姿を明々と照らし出す。

このように十手・捕縄事典にありました。

上画像では判断しにくいですが、映像で見ると、この車松明の特徴に当てはまるように見えたため、そう断定しました。

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ここで、再び『一角流手棒目録』です。

ここでは、捕縄における犯罪者の縛り方が載っています。

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ここで、杉良太郎さん本人による柔術が披露されます。

杉良太郎さんは合気道が特技で、養神館合気道五段をお持ちのため、披露したのではないのでしょうか。

スピーディな殺陣も、合気道との組み合わせで生まれています。

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右門手下(てか)の十手持ち・伝六(おしゃべり伝六)を筆頭に、捕方が江戸の町を駆けるシーンです。

捕方は、刺又(さすまた)袖搦(そでがらみ)突棒(つくぼう)寄棒(よりぼう)梯子(はしご)を持っています。

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ここで、捕物の実演が披露されます。

梯子で容疑者の四方を囲み、徐々に間隔を狭め、上記した長物の捕物道具で追い詰めます。

相手が武術に長けているために容易に捕縛できない時は、このような方法を用いるそうです。

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ここで堂々と登場する右門。

捕物は手下のものや捕方に任せ、同心は縄を縛るくらいしかしなかったとか...。

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ここで再び『一角流手棒目録』、目録の最後の部分が写されます。

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OPラストシーンで1番の見せ場です

刀を奪おうとする相手を利用するもので、鞘を敵に掴まれているため、膝で鍔を押さえ刀を敵に抜かせて、瞬時に四方に居る敵を斬るというシーンです。

先程、杉良太郎さんは養神館合気道五段の持ち主と記述しました。

そのため、本作品の合気道指導養神館が担当しています。

 

とまあ、こんな具合にツラツラと記述致しました。

ここまで見て下さった方ならお分かりの通り、『NET1974年版右門捕物帖は、TV時代劇と思えないほど豪華な作りになっております。

これほどの時代劇は、もう作れないような気がします。

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時代劇から十手に興味を持った人間は、おそらくこの右門捕物帖、又は同心暁蘭之介あたりに興味を示すと思います。

 

 

 

 

この右門捕物帖は、なんと言っても第34話&第35話で、破邪顕正の構え』を披露するのも見どころです。

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最近は東映さんが公式YouTubeチャンネルで時代劇をアップロードしていたり、BF(ベストフィールド)というメーカーも東映時代劇作品をソフト化しているので、そろそろこの右門捕物帖も、何か動きがあって欲しいです。

暗殺の凶弾は日の出と共に炸裂して...

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3月24日、私は毎年この日になると、この『事件』を思い出します。

そう...

桜田門外の変

 

です。

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桜田門外の変といえば、幕府御大老井伊直弼が暗殺された事件です。

なぜこれを思い出すのか...
それは、この事件にはある拳銃が使われたからです。

 

 

 

 

結構有名なので、存じている方は多いと思います。

こちらが、その拳銃です。

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六響袖銃

井伊直弼天誅の短筒

です。

形を見て分かる通り、これはコルトm1851ネイビーを模倣した短筒です。

形的に、4thモデルを模倣した感じだと思います。

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自分の51ネイビーは2ndモデルなので、トリガーガード後部が角張っています。

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暗殺用に製造された六響袖銃は、ただ模倣しただけではなく、随所に桜の刻印が施されております。

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実用性というよりは、芸術性にあふれた美しい短筒ですね。

暗殺用の短筒なのに、美しい刻印を施すのは、なんとも侍らしいような気がします。

 

 

桜田門外の変が起こった日ゆえ、私も六響袖銃...ではなくコルトm1851ネイビーを発火させました。

井伊直弼公暗殺の凶銃!? 『六響袖銃 伊井直弼公天誅の短筒』のモデルとなった、コルトm1851ネイビー CAWモデルガンを発火 - YouTube

ここで発火させたモデルガンは、この前ご紹介したCAW:コルトm1851ネイビー 2ndモデル 発火用モデルガンです。

コルトm1851ネイビー - 近江屋の御隠居の日録

もちろん、発火後すぐに清掃を行いました。

 

 

 

 

コルトm1851ネイビー、私はオクタゴンバレルが好みですので、この短筒も好みです。

動作はトリガープルが軽く、ハンマーも軽いため、軽い力で遊ぶことが出来ました。

パーカッションリボルバーですので、カートリッジ式より火薬を詰めるのが容易であるため、また発火させてみたいです。

受け継がれていく仕置屋主水十手

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「仕置屋主水十手」...

私が勝手に呼んでいるだけです。

この十手は以前にも取り上げており、そこでは「仕置屋主水十手 = 八州番太十手(楠流十手)」と考察いたしました。

仕置屋主水十手について - 近江屋の御隠居の日録

続・中村主水の十手について - 近江屋の御隠居の日録

今回は、使用例が見つかったので、それについて記事にいたします。

 

 

 

 

◉1970年代

★1973年

確定している最初の使用例は、必殺仕置人第11話「流刑のかげに仕掛けあり」の、岡っ引き・鬼の岩蔵の十手です。

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この回では、鬼岩の私物十手がこれですので、劇中しっかり映るシーンが多いと思います。

あのシリーズでも屈指の腕を持つ仕置人・棺桶の錠&念仏の鉄相手に、互角の腕を見せた鬼岩の親分

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イマケン(今井健二)さんが楽しそうに演じているため、見ているこちらもワクワクします。

なのに、あまり注視されませんね。

 

 

★1974年

まずは、この話です。

助け人走る第20話「邪恋大迷惑」岡っ引き・音羽萬蔵の十手です。

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イマケンさんの次はゴテ雄(伊藤雄之助)さん!

なかなかな顔ぶれですね。

この回は一匹狼の殺し屋・龍の初登場回ゆえ、そちらがメインのため、やや影が薄いです。

 

次は、こちらです。

暗闇仕留人・中村主水の十手です。

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仕留人では2種類十手を使用し、シーンによって朱房紐巻きの十手、仕置屋主水十手と分かれています。

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2種類存在するのは、必殺シリーズDVDコレクション/必殺DVDマガジンの表紙でも、確認することができます。

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なぜ仕留人は2つ十手を所有するのか、どうゆう基準で使い分けているのかは、不明です。

 

 

★1975年

この年、ようやくこの作品で使用されます。

必殺仕置屋稼業・中村主水です。

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先程から申している「仕置屋主水十手」は、この作品から由来しています。

置屋は、紐を鈎に巻いていますが、これは第2話「一筆啓上罠が見えた」からで、第1話「一筆啓上地獄が見えた」では、まだ仕留人と同じで、房紐を垂らしている状態でした。

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必殺仕置屋稼業のみ、この十手を常用します。

ただ、必殺仕置屋稼業では、第1話で奉行所から朱房紐の十手を拝領しているシーンがあるんですけどね。

 

 

ここからが、新しい発見になります。

前述が長くなってしまい、すみません。

 

 

◉1980年代

★1981年 ~ 1982年

この作品で、登場していました。

佐武と市捕物控・佐武の十手です。

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長さ、形状、緒付環が、仕置屋主水十手のそれと同じです。

この作品では、ただ十手として使うだけではなく、十手の先端に鏃(やじり)を付け、武器として使用しているシーンがありました。

 

 

◉2000年代

★2000年 ~ 2006年

これは画像のみの判断で、私は本編を見たことが無いですが、おそらく同じだと思います。

八丁堀の七人・仏田八兵衛の打ち払い十手です。

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仏田八兵衛とは、片岡鶴太郎さんが演じる同心の役名です。

藤巻十手は多々あれど、この特徴を持った十手は、仕置屋主水十手だと思います。

 

 

★2016年 ~ 2017年

これが最近の使用例になると思います。

伝七捕物帳・がってんの勘太の十手です。

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これは中村梅雀さんの伝七捕物帳で、がってんの勘太は徳重聡さんが演じております。

驚きました。

高画質で仕置屋主水十手が見れるだなんて、感動です!

しかも、高画質ゆえに新たな発見もありました。

それは、手の内(持ち手)の藤の巻き方です。

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藤がクロスしているのが分かると思います。

ただ手の内に巻いたのではなく、このように洒落っ気も出した巻き方になっているとは、存じていませんでした。

手元の画像で確認したところ...。

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鬼岩の十手、仕留人の主水十手も、同じ藤の巻き方がされているので、この手の内の藤巻も、仕置屋主水十手の大きな特徴の一つです。

 

 

 

 

40年近くにわたり、色々な俳優さんに使われた十手だと、分かりました。

2017年の作品ともなると、藤巻も年季が入り茶色くなっていますね。

必殺シリーズにも登場しているので、高津商会さんの倉庫に、眠っているかもしれないです。

 

最後に...。

上記以外の作品で、仕置屋主水十手の使用例がありましたら、是非お教え下さい。