仕込み十手
『御用牙』の存在は知っていて、そこで『南蛮一品流鼻捻』が登場することも、十手好きとして当然確認しております。
ただし、劇画と時代劇では結構異なります。
◉南蛮一品流鼻捻
『南蛮一品流鼻捻』とは、『なんばんいっぽんりゅう はなねじ』と読みます。
「ナワ・ユミオ捕具コレクション」に実物と思われるものの写真があり、また説明も載っています。
南蛮一品流鼻捻
先端空洞部と棒身全体を、三枚の鍛鉄鉄筋で囲い、四方にはみ出した十手鉤をつけている。
長さは一尺八寸(58糎半)、直径一寸(約3糎)の丸棒一尺八寸のうち、手元四寸(14糎半)で六角形になり、握柄になっている。
先端の鉄蓋を捻ると蓋が外れ、十手を打ち振るうと分銅付きの鎖が降り出される。
というものです。
『南蛮一品流鼻捻』の通り、これは南蛮一品流の鼻捻です。
南蛮一品流の十手
南蛮一品流で『十手』と称するものは、棒身に鉤一個を貫き、反対方向に一文字状の横手を出し、横手と同方向の棒身打ち込みに小型の鉤を一個つけたもの。
このように、先生の事典にありました。
したがって、『南蛮一品流鼻捻』が正しい表記です。
まあこんな書きましたが、劇画版『御用牙』の十手は、『南蛮一品流鼻捻り』というよりも『制剛流無空十手』に近い気がします。
制剛流無空十手
(せいごうりゅう むくうじって)
木製棒身に鉄鍔を付け、鍔に接して四方に張り出した鉄製四つ鉤を付け、棒身の先端四寸程を中空にして、分銅付きの鉄鎖を振り出すという、特殊な十手。
です。
かみそり半蔵こと板見半蔵、彼の十手は、棒身に鉤が付いているというより、棒身に鍔鉤がついているように見えます。
また、分銅が蓋になっているのでは無く、棒身内側に収納されているように見えます。
そのためこれは『制剛流無空十手』に近いのではないかと思いました。
時代劇の御用牙の十手は、こちらです。
琉球古武術に使われる、『釵(サイ)』の手の内に鎖を仕込んだものになります。
これでは南蛮一品流鼻捻でも、制剛流無空十手でもないですね。
◉製作物
上にあるように、刀奪いの鈎が4つ付けられた十手を作りたかったのですが、ありあわせの材料ではイマイチなフックしか無かったので、今回は「十手 ~破邪顕正の捕物道具~」に載っている、ただの仕込み十手を作りました。
※当方趣味でこのような十手を作っただけですので、決して何かに使用するなどは致しません。
ではでは、その仕込み十手がこちらです。
一見、ただの鍔十手のように見えます。
しかし、先端が妙な形です。
そうです。
ここを抜くと、中から鎖が現れます。
分銅鎖を仕込んだ鍔十手というものです。
このタイプの鍔十手は1つも持っていないので、ただの鍔十手にする事も考えました。
しかし、どうせなら御用牙:隠密廻り同心・板見半蔵の『南蛮一品流鼻捻り十手』っぽくしたかったので、鍔十手に分銅鎖を仕込んだ物を作りました。
少し拘ったところもあり、握柄(にぎりえ)こと手の内、持ち手の部分は、細い糸を3重に巻いて握り心地を良くしています。
太い糸を1重で巻いた時より、握った時の感触が、良い気がします。
また、鍔と棒身の間には、防虫用銅テープで、ハバキを模しています。
さらに、分銅がすっぽ抜けないように、棒身内側をレジンで狭めて、日本刀で言う『鯉口』のようにしています。
今のところは問題ありません。
ただ、鯉口は経年劣化で緩くなるので、いずれはレジンを追加する事になると思います。
かみそり半蔵は、他にも六角形の十手も持っていますので、それも。
六角形の十手は黒い房紐なのですが、それは今他の十手に使っているので、赤い房紐をつけています。
前述しましたが、私は趣味で十手を作っているので、それで何かをする事は絶対にありません。
仕込み十手、時代劇的に有名なのは、『岡っ引き どぶ』の仕込み十手ですかね。
私は田中邦衛さんのどぶを見た事があります。
邦衛さんのどぶは、連続ドラマ版と時代劇スペシャル版で、仕込み十手の十手自体の形状が、少し異なりましたね。
必殺シリーズ:もう一つの『仕込み煙管』
仕込み煙管...
必殺シリーズでは、意外と少ない暗器です。
有名なのは、やはりこの方の仕込み煙管です。
助け人走る:辻平内
です。
彼の仕込み煙管は3種類あり、初期の羅宇自体が針になっているもの、吸い口部分に細い針がついているもの、吸い口部分に太い針がついているものとあります。
長期間使ったのは、吸い口部分に太い針がついているタイプです。
↑これは購入物
今回は、彼のものではない「仕込み煙管」を紹介します。
実は、この方も仕込み煙管を使用した事があります。
音羽屋半右衛門
です。
ファンや見たことある方ならご存知の通り、仕掛人の元締です。
武器はこれと言って決まったものは無く、最終回では水平二連短筒を所持していたことも判明します。
画像は「座頭市と用心棒」のものを使っています。
元締の水平二連短筒は、確か白っぽい色だったと思います。
そんな元締が仕込み煙管を使うのは、必殺仕掛人第14話『掟を破った仕掛人』という話です。
最愛の女房を人質に捉えられ、どうすることも出来ない元締は、最後の願いということで煙草を呑ませてくれと願います。
短筒の火を借りて煙草を呑む時、瞬時に吸い口から仕込み針を、相手の手に刺して短筒を落とさせます。
この時に、元締の仕込み煙管が見られます。
画像を載せたいのですが、録画が全て飛んでしまったので、6年前に自分が作った物を代用で載せます。
これは劇中プロップを基に作ったため、配色はこれと同じはずです。
雁首、吸い口は金色(真鍮製と思われる)、羅宇は黒色です。
吸い口を取ると、仕込み針が登場します。
この仕込み煙管は、同じような物を必殺橋掛人第10話『日本橋の地獄火を探ります』で、菊之丞(菅貫太郎さん)が持っていました。
音羽の元締こと音羽屋半右衛門は、他にも仕込み武器が多いです。
必殺仕掛人第5話『女の恨みはらします』の仕込み釣竿。
映画版第1作目『必殺仕掛人』の仕込み扇子。
↑こんな感じ
仕込み扇子は何人か使いますが、扇子自体を鞘、骨を柄にして、匕首の様にした仕込み扇子は、音羽屋の元締くらいしか使いませんでした。
仕込み煙管は音羽屋の元締、辻平内くらいです。
煙管自体は、虎田龍之介や、時計師の夢二も使うのですが、前者は喧嘩煙管、後者は煙草入れに仕込んだ短筒という感じで、煙管に何か仕込んであるタイプでは無いため、ここでは省きました。
私的:オススメ市販品十手(偏見あるかも)
十手...。
私の投稿記事を読んで下さってる方ならご存知の通り、私は十手好きです。
まだまだ不十分な所だらけですが、名和弓雄先生の事典などで理解を深めています。
そんな私ですが、市販品の十手を購入したことが、十手との出会いであり、きっかけになった事です。
なので、本記事では私がオススメする『市販品十手』について、纏めようと思います。
まず、市販品十手とは...。
Amazonや楽天などのネット上や、しのびや(店名)、おもちゃ屋、お土産屋などで購入可能な、一般的に流通している十手の事です。
市販品十手という名前は、私が勝手にそのように呼んでいるだけです。
ではでは...。
3種類ほどご紹介致します。
◉藤巻十手
藤巻十手、仕置屋主水十手こと楠流十手の記事にも登場した名前で、その名の通り手の内(持ち手)に藤が巻かれている十手です。
私は藤を取ってしまったのですが、藤が巻かれている時は、上画像の状態でした。
これは市販品では珍しい六角棒身で、縦型の鈎で、緒付環は水平回転環という実物の十手に多いものになっています。
藤巻十手は他にも2種類ありますが、私はこの六角棒身の藤巻十手が1番好きです。
◉長谷川平蔵愛用十手
(鍔十手)
名前の通り、長谷川平蔵仕様のこの十手です。
「ナワ・ユミオ捕具コレクション」にもあるこの豪勢な拵えは、とても存在感があり、実用性且つ芸術性も高いです。
手の内は、まるで日本刀のような拵えで、握り心地は他十手より良いと思います。
私は、まだこの十手を手にしたことはございません。
というか、欲しいです。
◉特大十手 紫房ver
ここに来て、このどシンプルな十手です。
この十手を選んだ理由は、房紐の巻き方を変えると、ある十手のようになるからです。
そう、黒門町の伝七の紫房の十手です。
市販品十手で劇中プロップ十手のように出来るのが良く、安価で購入できるため、これをオススメします。
まあ、これら市販品十手を買って、十手関連や十手術に興味を持つとこまで行くかは、その人次第です。
しかし、十手の導入としては良いと思いますので、これらをオススメします。
決定版『仕置屋主水十手について』
確信はしていたのですが、名和弓雄先生著『十手・捕縄事典 -江戸町奉行所の装備と逮捕術』を読み、99.9%まで来たので、改めて記事にいたします。
自負するのはあれですが、この十手に関してはどの必殺ファンよりも知識を持っており、又研究をしていると思っています。
◉関連記事
前回記事では、仕置屋主水十手の使用例について触れました。
ここではそれに触れず、この十手の特徴と、実物十手ではどれに該当するのかを、再び記述いたします。
◉仕置屋主水十手の特徴
ここで挙げた3枚が、分かりやすい仕置屋主水十手画像です。
当ブログをご覧になられている方なら、もうご存知だと思います。
以下に、この十手の特徴を記します。
全長約60cm、棒身は八角形で先端に行くほど面取りが大きくなっていて、若干先細り。
刀奪いの鈎は矩形で直角縦型、太くて厚い作りになっている。
手の内(握柄・にぎりえ)は四角形で全体に藤巻が施されている。
緒付環は三角形で、猪目と思われる形状で、付け根は円筒状になっている。
房紐は朱色で房数は2つ、作品によっては十手棒身に紐のが巻かれている。
と、このような感じです。
中村主水の歴代十手の中でも、1番大ぶりに造られている十手です。
暗闇仕留人第10話「地獄にて候」で、悪人の手先の駕籠担ぎ2人を仕置する時に使ったりと、裏稼業でもちょくちょく使われています。
◉予想される十手
この仕置屋主水十手、実物の十手では「八州番太十手」こと「楠流十手」になると思います。
ここで、その「八州番太十手」、「楠流十手」の特徴について記します。
まず、谷口柳造先生著『十手 -破邪顕正の捕物道具-』から。
P.98「番太と捕具」の項に、こうあります。
楠流の十手は一尺八寸(約54~55糎)で、手の内は長さ四寸(約12糎)で八角作り、手の内には必ず藤が巻かれている。
「清目(棒身)」の部分も八角形で、先端にいくほど細くなっている。
刀うばいは縦型で大きく、目め副(緒付環)には緋色の切り房がついている。
次に、名和弓雄先生著『十手・捕縄事典 -江戸町奉行所の装備と逮捕術-』です。
P73「八州番太の十手」の項に、こうあります。
総丈が長く、棒身直径が太く、丈夫な大振りの太刀もぎ鈎のついた十手を、一般には「番太十手」と俗称しているが、八州番太の十手は「楠流十手(くすのきりゅう じって)」とも呼ばれている特殊なもの(略)。
総長一尺八寸(約54~55糎)、八角棒身、握柄正四角で藤巻き、鈎平形大振りで、鈎巾一寸(3糎)、横手内のり一寸一分(3糎3粍)。
銀磨きで赤絹紐二尺(60糎)を紐付環につける。
(途中略)
大振りな鍛鉄十手で、長さが一尺八寸あり、鈎幅が広く、握柄が正四角で、棒身が八角であれば「楠流十手」と鑑定して良いと思う。
途中略のところは、鈎幅が広い理由が記載されていました。
鈎幅が広いのは、竹槍や農具と言った刀以外の武器を絡め取るためだと、名和弓雄先生の書籍にありました。
また、「鈎巾」と「横手内のり」は、こういうことだと思います。
緑色が「鈎巾」、赤色が「横手内のり」です。
十手は蒐集物から研究されていますので、若干の違いがございます。
違いは、手の内が四角か八角というところで、大きさや刀奪いの鈎などは、共通していますね。
◉実物との共通点
まあ、共通点というか、私はここに注目しました。
大振りな鍛鉄十手で、長さが一尺八寸あり、鈎幅が広く、握柄が正四角で、棒身が八角であれば「楠流十手」と鑑定して良いと思う。
というところです。
仕置屋主水十手はそれ自体を画面でしか見たことがないため、全長については正直不明です。
自分が見た感じでは、60cmほどあるように思います。
しかし、大まかな特徴は押さえています!!
ここで、一度「仕置屋主水十手」をどうぞ。
名和弓雄先生の書籍と、ほとんど同じに見えます。
紐の長さも、当方が製作した仕置屋主水十手も60cmほどで、これは画像を見ながらなんとなく作ってその長さになったので、仕置屋主水十手も60cmほどの紐だと思います。
大きく異なるのは刀奪いの鈎で、仕置屋主水十手は棒身との幅が狭いため、ここは異なるところです。
また、八州番太十手は先端にいくほど細くなっているのですが、仕置屋主水十手は細くなっているにしても、そんなに細くなっていないので、そこは同じ細くなっているにしても、少し異なる気がします。
緒付環は、仕置屋主水十手は猪目(逆ハート型)、八州番太十手は楕円なのですが、ここについての記述はなかったので、特に形に決まり事はないと思います。
房紐は、谷口柳造先生の書籍の特徴と同じに見えます。
◉結論
もう何を述べるか、お分かりだと思います。
少し異なるところはあっても、特徴は捉えていますので...。
私は、仕置屋主水十手を八州番太十手、楠流十手だと鑑定いたします。
7年前くらいに、ヤフオクで仕置屋主水十手が出品されていました。
ぱっと見はそれっぽいですが、個人的には藤はただ巻かれただけですし、先端にいくほど細くなっていますので、仕置屋主水十手というよりも、八州番太十手を基に製作しているように見えます。
以上です。
これだけ資料や材料を集め、纏め、根拠も示しましたので、これは楠流十手だと判断しました。
全く関係ないのですが、先程「斬り捨て御免!第2シリーズ 第3話」のラス立ちを視聴しました。
そのため、近々うちの子も花房出雲っぽくなると思います。
続・右門捕物帖(NET 1974年版)後期OPについて
突然ですが、先日、この書籍を購入しました。
十手・捕縄事典
~江戸町奉行所の装備と逮捕術~
です。
あの時代考証家:名和弓雄先生の書籍です!!!
まだしっかりと見た訳じゃないのですが、サーっと目を通しただけでも十分凄く、また、右門捕物帖OPで登場したものと思われるものもチラホラ載っていました。
したがって、今回は再び右門捕物帖後期OPのついて触れます。
※1記事で纏めますので、長くなると思います。
◉関連記事
右門捕物帖・後期OPで思ったこと(1974年、杉良太郎版) - 近江屋の御隠居の日録
ではでは...。
先ず冒頭のこのシーンから、名和弓雄先生の私物(と思われる)十手&劇中プロップ用十手のついて。
上画像左から...
です。
ここで、赤文字で明記した4.真鍮銀流し十手が、この「右門捕物帖」で杉良太郎さん演じる北町の近藤右門が使う十手です。
それ以外の1~3、5~7は、名和弓雄先生の私物十手、つまり「ナワ・ユミオ捕具コレクション」の一部だと思われます。
劇中プロップ用十手のアップと同時に、メインタイトルである「右門捕物帖」の題字が起こって登場します。
ここで、『一角流手棒目録』が写ります。
このシーンでは、目録のうち上画像の3つのみ画面に映されます。
ここで、原作者の佐々木味津三先生や、スタッフ、出演者のクレジットとともに、開門する北町奉行所→捕物出役姿の近藤右門並びに他捕方が登場します。
ここで、杉良太郎さんが来ている捕物時の服装は、時代考証的に正しいと思います。
上の本でもありましたし、しっかり鉢巻で耳も隠していますし。
この衣装については、後ほど記事にすると思います。
ここで再び『一角流手棒目録』、このシーンでは、一角流マロホシ並びに一角流や制剛流に伝わる鉄手具(鉄楯)が写ります。
ここで、杉良太郎さん本人による鉤縄の実演になります。
相手の懐に鉤をかける→縄を絡める→縄を踏み相手を制すると言った感じです。
ここで、なんと『南蛮一品流捕道具繪目録』が写ります。
捕物時に使用する、照明器具が描かれているようです。
ここで、右門が十手で拾い上げて投げているものは、おそらく『車松明』というものだと思います。
車松明(くるま たいまつ)
一尺(約30㎝)ほどの長さの棒状松明を三本、中心を丈夫な紐で縛り合せ、先端が六方向に向くように、球状に固定する。
六つの先端に点火して暗闇中に投げれば、地上に転がっても消えることは無く、賊の姿を明々と照らし出す。
このように十手・捕縄事典にありました。
上画像では判断しにくいですが、映像で見ると、この車松明の特徴に当てはまるように見えたため、そう断定しました。
ここで、再び『一角流手棒目録』です。
ここでは、捕縄における犯罪者の縛り方が載っています。
杉良太郎さんは合気道が特技で、養神館合気道五段をお持ちのため、披露したのではないのでしょうか。
スピーディな殺陣も、合気道との組み合わせで生まれています。
右門手下(てか)の十手持ち・伝六(おしゃべり伝六)を筆頭に、捕方が江戸の町を駆けるシーンです。
捕方は、刺又(さすまた)、袖搦(そでがらみ)、突棒(つくぼう)、寄棒(よりぼう)、梯子(はしご)を持っています。
ここで、捕物の実演が披露されます。
梯子で容疑者の四方を囲み、徐々に間隔を狭め、上記した長物の捕物道具で追い詰めます。
相手が武術に長けているために容易に捕縛できない時は、このような方法を用いるそうです。
ここで堂々と登場する右門。
捕物は手下のものや捕方に任せ、同心は縄を縛るくらいしかしなかったとか...。
ここで再び『一角流手棒目録』、目録の最後の部分が写されます。
OPラストシーンで1番の見せ場です。
刀を奪おうとする相手を利用するもので、鞘を敵に掴まれているため、膝で鍔を押さえ刀を敵に抜かせて、瞬時に四方に居る敵を斬るというシーンです。
先程、杉良太郎さんは養神館合気道五段の持ち主と記述しました。
とまあ、こんな具合にツラツラと記述致しました。
ここまで見て下さった方ならお分かりの通り、『NET1974年版右門捕物帖』は、TV時代劇と思えないほど豪華な作りになっております。
これほどの時代劇は、もう作れないような気がします。
時代劇から十手に興味を持った人間は、おそらくこの右門捕物帖、又は同心暁蘭之介あたりに興味を示すと思います。
この右門捕物帖は、なんと言っても第34話&第35話で、『破邪顕正の構え』を披露するのも見どころです。
最近は東映さんが公式YouTubeチャンネルで時代劇をアップロードしていたり、BF(ベストフィールド)というメーカーも東映時代劇作品をソフト化しているので、そろそろこの右門捕物帖も、何か動きがあって欲しいです。
暗殺の凶弾は日の出と共に炸裂して...
3月24日、私は毎年この日になると、この『事件』を思い出します。
そう...
です。
桜田門外の変といえば、幕府御大老:井伊直弼公が暗殺された事件です。
なぜこれを思い出すのか...
それは、この事件にはある拳銃が使われたからです。
結構有名なので、存じている方は多いと思います。
こちらが、その拳銃です。
六響袖銃
です。
形を見て分かる通り、これはコルトm1851ネイビーを模倣した短筒です。
形的に、4thモデルを模倣した感じだと思います。
自分の51ネイビーは2ndモデルなので、トリガーガード後部が角張っています。
暗殺用に製造された六響袖銃は、ただ模倣しただけではなく、随所に桜の刻印が施されております。
実用性というよりは、芸術性にあふれた美しい短筒ですね。
暗殺用の短筒なのに、美しい刻印を施すのは、なんとも侍らしいような気がします。
桜田門外の変が起こった日ゆえ、私も六響袖銃...ではなくコルトm1851ネイビーを発火させました。
井伊直弼公暗殺の凶銃!? 『六響袖銃 伊井直弼公天誅の短筒』のモデルとなった、コルトm1851ネイビー CAWモデルガンを発火 - YouTube
ここで発火させたモデルガンは、この前ご紹介したCAW:コルトm1851ネイビー 2ndモデル 発火用モデルガンです。
もちろん、発火後すぐに清掃を行いました。
コルトm1851ネイビー、私はオクタゴンバレルが好みですので、この短筒も好みです。
動作はトリガープルが軽く、ハンマーも軽いため、軽い力で遊ぶことが出来ました。
パーカッションリボルバーですので、カートリッジ式より火薬を詰めるのが容易であるため、また発火させてみたいです。
受け継がれていく仕置屋主水十手
「仕置屋主水十手」...
私が勝手に呼んでいるだけです。
この十手は以前にも取り上げており、そこでは「仕置屋主水十手 = 八州番太十手(楠流十手)」と考察いたしました。
今回は、使用例が見つかったので、それについて記事にいたします。
◉1970年代
★1973年
確定している最初の使用例は、必殺仕置人第11話「流刑のかげに仕掛けあり」の、岡っ引き・鬼の岩蔵の十手です。
この回では、鬼岩の私物十手がこれですので、劇中しっかり映るシーンが多いと思います。
あのシリーズでも屈指の腕を持つ仕置人・棺桶の錠&念仏の鉄相手に、互角の腕を見せた鬼岩の親分。
イマケン(今井健二)さんが楽しそうに演じているため、見ているこちらもワクワクします。
なのに、あまり注視されませんね。
★1974年
まずは、この話です。
助け人走る第20話「邪恋大迷惑」の岡っ引き・音羽の萬蔵の十手です。
イマケンさんの次はゴテ雄(伊藤雄之助)さん!
なかなかな顔ぶれですね。
この回は一匹狼の殺し屋・龍の初登場回ゆえ、そちらがメインのため、やや影が薄いです。
次は、こちらです。
暗闇仕留人・中村主水の十手です。
仕留人では2種類十手を使用し、シーンによって朱房紐巻きの十手、仕置屋主水十手と分かれています。
2種類存在するのは、必殺シリーズDVDコレクション/必殺DVDマガジンの表紙でも、確認することができます。
なぜ仕留人は2つ十手を所有するのか、どうゆう基準で使い分けているのかは、不明です。
★1975年
この年、ようやくこの作品で使用されます。
先程から申している「仕置屋主水十手」は、この作品から由来しています。
仕置屋は、紐を鈎に巻いていますが、これは第2話「一筆啓上罠が見えた」からで、第1話「一筆啓上地獄が見えた」では、まだ仕留人と同じで、房紐を垂らしている状態でした。
必殺仕置屋稼業のみ、この十手を常用します。
ただ、必殺仕置屋稼業では、第1話で奉行所から朱房紐の十手を拝領しているシーンがあるんですけどね。
ここからが、新しい発見になります。
前述が長くなってしまい、すみません。
◉1980年代
★1981年 ~ 1982年
この作品で、登場していました。
佐武と市捕物控・佐武の十手です。
長さ、形状、緒付環が、仕置屋主水十手のそれと同じです。
この作品では、ただ十手として使うだけではなく、十手の先端に鏃(やじり)を付け、武器として使用しているシーンがありました。
◉2000年代
★2000年 ~ 2006年
これは画像のみの判断で、私は本編を見たことが無いですが、おそらく同じだと思います。
八丁堀の七人・仏田八兵衛の打ち払い十手です。
仏田八兵衛とは、片岡鶴太郎さんが演じる同心の役名です。
藤巻十手は多々あれど、この特徴を持った十手は、仕置屋主水十手だと思います。
★2016年 ~ 2017年
これが最近の使用例になると思います。
伝七捕物帳・がってんの勘太の十手です。
これは中村梅雀さんの伝七捕物帳で、がってんの勘太は徳重聡さんが演じております。
驚きました。
高画質で仕置屋主水十手が見れるだなんて、感動です!
しかも、高画質ゆえに新たな発見もありました。
それは、手の内(持ち手)の藤の巻き方です。
藤がクロスしているのが分かると思います。
ただ手の内に巻いたのではなく、このように洒落っ気も出した巻き方になっているとは、存じていませんでした。
手元の画像で確認したところ...。
鬼岩の十手、仕留人の主水十手も、同じ藤の巻き方がされているので、この手の内の藤巻も、仕置屋主水十手の大きな特徴の一つです。
40年近くにわたり、色々な俳優さんに使われた十手だと、分かりました。
2017年の作品ともなると、藤巻も年季が入り茶色くなっていますね。
必殺シリーズにも登場しているので、高津商会さんの倉庫に、眠っているかもしれないです。
最後に...。
上記以外の作品で、仕置屋主水十手の使用例がありましたら、是非お教え下さい。