今回は、今まで気にして来なかった『上方役人』のような十手を、製作した事の記事についてです。
関西同心十手は、鬼平の鮫皮十手で触れましたので、下記記事をご覧ください。
鬼平犯科帳・長谷川平蔵の十手を探る!! ~追悼・中村吉右衛門さん~ - 近江屋の御隠居の日録
今回製作した十手は、こちらです。
2本ありますが、鈎のある十手は、何ヶ月か前に作ったもので、詳細を記事にしていないのでここで紹介致します。
見てお分かりの通り、『鍔十手』と『片鈎十手』です。
モデルは、以下の通りです。
- 鍔十手:京都与力十手
- 片鈎十手:大阪同心十手
です。
大きさ的に、与力と同心を変えようかと思いましたが、モデルにしたため十手が上記のものゆえ、小ぶりですが『同心十手』、ちょっと大きいですが『与力十手』に致しました。
◉大阪同心十手
これは、大阪同心十手ともう一つ、『BS時代劇:大岡越前6のアイキャッチの十手』をモデルにしています。
関西の十手は、半球状の金具に貫通穴を開けて、それを紐付環にしているものが多いのですが、水平回転環の紐付環もあります(私物十手の可能性アリ)。
今回は、大岡越前6のと足して2で割った感じにしたため、回転しない正円形の紐付環にしました。
握柄は、鮫皮がないので凧糸を巻き、上から塗装して朱漆塗りをした感じにしています。
関西の十手は、太鼓胴鈎にする特徴があります。
太鼓胴鈎は上下を菊座でかしめるのですが、菊座となる部分に花弁の様な溝を掘っていたら、だんだんダンゴムシに見えてきて、非常に気持ちが悪い出来になったため、ただの円形の座金になりました。
お洒落な感じを出したかったので、棒身と座金の間に、ハバキを表現する金色のテープを貼りました。
この十手は、市販品の十手をベースに製作しました。
この十手を、持っていてよかったです。
◉京都与力十手
この十手は、煌びやかな感じにしたかったため、鍔を金色で塗装しました。
鍔の上下は菊座でかしめるので、今回は凧糸を巻きました。
凧糸のねじった部分を、どうにか花弁にできないかと思い、とりあえず厚めに塗装し、クリアーで仕上げました。
握柄は、今回『蛭巻』をやってみたかったので、綿ロープを解き、それを間隔を開けて巻いて、金色で塗装しました。
★蛭巻
太刀の柄・鞘や槍・薙刀の柄などに、金属の細長い薄板を、間をあけて螺旋状に巻いてあるもの。
※本来金属の薄板を巻くのですが、ちょうど良いものがないため、綿ロープを塗装しました。
豊臣秀吉が用いた『朱塗金蛭巻大小拵』を基にしたため、金色で塗装したのちに、赤い紐を巻きました。
紐付環は、先ほどの同心十手同様に、正円形の回転しない環にしています。
これは、関西の十手と同時に火付盗賊改の鍔十手にもしたかったからです(半球状の案が浮かばないのもあって...)。
この鍔十手は、数年前に製作した『関東取締出役の鍛鉄製銀流し十手』を基にしました。
なので、この十手は現存しません。
アルミ管を使っているため、いつもの木製十手よりは重めです。
2つ目の『京都与力十手』は、指揮棒の様な十手にしたかったです。
この画像を見ていただければ分かるのですが、一番短い鍔十手は、前に作った仕込み十手でした。
今回の鍔十手は、少し実戦向きになったと思います。
むしろ、片鈎十手の方が指揮棒に適してそうですね。