『 駿州田中藩の十手 』について
ネット検索していたら、非常に面白く、興味深いものを見つけました。
それが、記事タイトルの『 駿州田中藩の十手 』です。
まず、これがネットで見つけた『 駿州田中藩の十手 』です。
画像は『 十手 駿州藤枝住重信作 文化六年八月吉日作1610-9004|日本刀 刀剣販売 e-sword【イー・ソード】 』より転載
画像は『 十手 駿州藤枝住重信作 文化六年八月吉日作1610-9004|日本刀 刀剣販売 e-sword【イー・ソード】 』より転載
画像は『 十手 駿州藤枝住重信作 文化六年八月吉日作1610-9004|日本刀 刀剣販売 e-sword【イー・ソード】 』より転載
桐の箱に書かれた『 駿州田中藩同心持有十手 』の通りで、『 田中藩 』は現在の静岡県藤枝市にあった藩です。
サイトにあったコメントを見ると、この十手は刀工つまり刀鍛冶が作った十手だと思われます。
刀工が十手を作ることは有り、鬼平犯科帳で有名な『 長谷川平蔵宣以 』の鍔十手も、守光という刀工が作った十手です。
個人レビューでは初?...『 鬼平の鍔十手 』購入!! - 近江屋の御隠居の趣味録
刀工が作った十手は、日本刀同様目釘で柄と棒身が接続されており、目釘を抜くと中子の銘が確認出来るようです。
これを見て、私はヤフオクに出品されていた十手を思い出しました。
この十手です。
画像は『 ヤフオク! - 武士階級上級捕吏「十手」 在銘 ナカゴが外せま... 』より転載
画像は『 ヤフオク! - 武士階級上級捕吏「十手」 在銘 ナカゴが外せま... 』より転載
これも『 駿州田中藩の同心十手 』同様で、ヤフオクにあった十手には『 駿河守正弘 』と有りました。
『 駿府守 』だから駿府国のどこかの十手かと思いましたが、違いました。
この刀工の名は『 田子駿河守正弘 』と言い、奥州二本松藩のお抱え刀工です。
つまり、この十手は『 奥州二本松藩の同心十手 』だと思われます。
『 駿州田中藩の同心十手 』を見て思ったのですが、以前伺った『 駿府十手 』は、この田中藩の同心十手に近いのかもしれません。
『 大ぶりでしっかりとした造り 』という情報しかありませんが、田中藩の十手も同様な造りですし、田中藩は駿河国の藩です。
全く別の場所でも同形の十手があるため、『 駿府十手 』も同じ様な造りに思いますが、駿府は幕府領で、ここには『 駿府町奉行所 』がありました。
そのため、田中藩や二本松藩の十手というよりは、江戸町方の捕物用長十手に近い形かもしれません。
谷口柳造氏の書籍に載っている各藩の十手以外は、全く情報が無かったため、これはとても大きなヒントを得れました。
しかし、各藩の十手には『 鍔付き鈎付き十手 』がとても多い気がします。
実戦向きの十手となると、やはり鍔十手になる傾向が多いため、各藩の同心十手は鍔十手がスタンダードなのかもしれません。