続:闇奉行と破れ奉行について
下記事が基になっています。
この2作品は、共通点が多いです。
この記事だと若干内容が薄いので、今回はそこを補うような記事になると思います。
◉項目
- 作品の舞台など
- 悪人狩りの前
- 服装、正体の現し方
- 普段の腰物
- 流派
- 刀以外の得物
- 第1話の悪人
です。
項目数は多いですが、1つ1つの分量はそんなにありません。
1.作品の舞台など
- 長崎犯科帳:長崎
- 破れ奉行:本所深川
です。
『長崎犯科帳』は当時唯一の国際貿易都市・長崎、『破れ奉行』はまだ江戸町奉行所の支配外であった本所深川が舞台ですので、悪事を働くにはピッタリな場所だと思います。
2.悪人狩りの前
- 長崎犯科帳:法廷を開き吟味する
- 破れ奉行:老中に報告し裁可を仰ぐ
です。
お互いただ悪人狩りをするのではなく、一応筋は通してから行います。
『長崎犯科帳』は、開廷はするものの悪人が必ず勝ちます(だから闇で裁く)。
また、悪徳商人からのカスティラ(賄賂)が証拠となり、悪人狩りに繋がります。
『破れ奉行』は、ほとんど悪人が将軍の寵愛を受けていたり、大奥にコネクションがあってどうにもならない事が多いです。
老中:稲葉越中守は速水右近に「いかんいかん!わしゃ知らんぞ!」と言いますが、これはおそらく老中からのGOサインです。
3.服装、正体の現し方
これはどちらも同じですが、セリフ、服装が異なります。
服装は白装束に白い宗十郎頭巾です。
※日中は黒い着流しに黒い宗十郎頭巾
頭巾の覆面と取る前のセリフは、「俺の面ァ見せてやる。」や「誰に殺られたか分からなきゃ、冥土へ行って迷うだろう。」などです。
悪人は、長崎犯科帳ではそこの最高権力者が突然現れるので、皆鳩が豆鉄砲を食らったように驚きます。
また、話によって懐紙で刀を拭うシーンがあります。
- 破れ奉行
服装は鉄板を鎖で繋いだ山岡頭巾、パンタロンに羽織、柔道着の上側のような感じです。
頭巾の覆面を取る前のセリフは、「(頭巾を)取ったらおめぇたち、困りゃぁしねえか?」や「(頭巾を)取ったらおめぇたち、腰抜かすぞ。」などです。
破れ奉行では、さらに拝領刀の葵の御紋も見せるため、相手が武士の場合はそちらで驚くことが多いです。
⬆︎ちゃんと平伏す商人もいます。
破れ奉行は前作『破れ傘刀舟悪人狩り』と同じ破れシリーズですので、決め台詞もございます。
「天に代わって破れ奉行、てめえらぁ斬る!」
です。
破れ奉行は、殺陣の後に懐紙で刀を拭い、それを天井に投げ、散り落ちる懐紙の中で拝領刀を納めるシーンも有名ですね。
4.普段の腰物
これは、平松忠四郎も速水右近も同じです。
両者とも●段拵え(全段か半段か不明)に、稲妻のような模様入りの楕円形の鍔です。
平松忠四郎は闇奉行時でもこれを、速水右近は拝領刀を使いますが、3話頃まで拝領刀の鍔は平常時と同じ物でした。
5.流派
『4.』と同じで、これも両者とも同じ流派です、二人とも『柳生新陰流』です。
以下の回で、それが分かります。
- 長崎犯科帳:第18話「忠四郎危機一髪」
- 破れ奉行:第33話「深川奉行危機一髪!」
です。
『長崎犯科帳』では、長崎からの賄賂が減り不審に思った幕府上層部が、大目付:島左衛門尉高次を長崎に派遣、彼は忠四郎の旧友のため、その二人の会話でわかります。
⬆︎大目付:島左衛門尉高次は、ヨロキンさんの実弟・中村嘉葎雄さん。
『破れ奉行』では、夢法師と名乗る殺し屋の反町中納言(演:成田三樹夫さん)によってわかります。
柳生流が基にあり、林崎流の居合、さらに諸刃の型も入っている、恐ろしく腕が立つ男です(速水右近)。
6.刀以外の得物
これは書くほどではないですが、一応。
です。
私は、長崎犯科帳でハイパトを知りました。
昭和刑事ドラマ御用達の拳銃(モデルガン)で、70年代時代劇でも頻出するほどの、70年代を代表するモデルガンです。
銛は、銛です。
破れ奉行はこれを使って悪人狩りをするので、なかなか面白いです。
この銛を持った奉行のシルエットは...ね。
7.第1話の悪人
両作とも同じで、第1話ではまず奉行所内部の悪人も込みで退治します。
⬇︎長崎犯科帳第1話
⬇︎破れ奉行第1話
獅子身中の虫となり得る人物、これを駆除しないと、長崎や深川の治安維持が出来ないのでしょう。
このような感じです。
破れ奉行は若干必殺シリーズ感がありますが、破れシリーズゆえ単身で乗り込みます。
しかし、長崎犯科帳は亜流必殺シリーズゆえ、裏は裏で仲間がいます(良順、お文、三次たち3人)。
破れシリーズと亜流必殺シリーズ、そのため異なる部分はあるものの、共通している部分も多いような気がします。
てか...。
平松忠四郎も速水右近も、裃も家紋も同じじゃね?
これは、おそらく流用していますね。
日本刀もそうでしたが、こういう流用は嬉しいです。