ヤフオク3100円の十手
今回は、十手関連についてです。
十手関連でも、『製作』ではなく『検証』です。
まず、これが『ヤフオクで3100円の十手』です。
おそらく、十手の種類なら『 目明かし十手 』というところですね。
全長約34糎、棒身は八角形、握柄は円形です。
太刀もぎの鈎は縦型、先端が外側に反っています。
厚みはなく、薄いです。
紐付環は水平回転環ですが、楕円とは言えない不思議な形です。
この十手、全体的に細いため、若干の握りにくさを感じます。
さて、この十手ですが、はっきりとした事は申せないですが、おそらく『 贋 作 』になると思います。
『 贋作 』と思われる部分が、こちらです。
- 全体的な形状
- 太刀もぎの鈎&紐付環の付け根
- 太刀もぎの鈎
- 握りにくさ
フォロワー様にお教え頂いたところも、含んでいます。
1.全体的な形状
まずは全体的な形状についてです。
十手というものは、先細りや先太りになる傾向がある様で、実際この前の本物と思われる十手は『先細り』でした。
(私、この傾向は勉強不足ゆえに存じていなかったです。)
しかし、今回の十手は円形→八角形で部分的に細くなっていますが、全体で見れば真っ直ぐ伸びています。
また、年代物の十手なら、こんなに地金が露出しているとは思えません。
持ち主が頻繁に銀磨きにしていれば別ですが...。
以前の本物の十手は、ピカールで軽く磨いても、全然地金が露出しなかったです。
今回の十手は、元から地金が見えていました。
黒錆の具合が薄く、地金が結構見えているのも気になったところです。
2.太刀もぎの鈎&紐付環の付け根
まず、太刀もぎの鈎は矩形の穴を開けて“かしめ”て付けます。
そのため、鈎の付け根はこの様に、反対側には矩形の溝が見えます。
※太鼓胴鈎や鍛接する鈎の場合は異なります。
したがって、鈎の付け根に穴が開く様な事は無いと思われます。
また、鈎付け根に削ったと思われる傷もあります。
これは、溶接によって肉盛り部分を削ったのでは、ないでしょうか?
これは考えすぎかもしれませんが、鈎付け根の穴の部分に、スラグの様なものが見られます。
錆ではさなそうです。
この十手の鈎は、溶接されたものだと思われます。
次に、紐付環はこの様に作ります。
今回の紐付環は、環自体の付け方(棒身との接続部分)は悪くないです。
しかし、環の付け方は気になります。
この様に、溶接によって肉盛りされたと思われる膨らみがあります。
打ち延ばしたのであれば、この様な“不自然な膨らみ”は無いので、これは、おそらく溶接されたのでは?と思います。
↓本物の十手の紐付環
この様に、本物の十手であれば、上画像の様な“不自然の膨らみ”は有りません。
3.太刀もぎの鈎
これは、『とにかく薄い』事が気になります。
十手は武器であるため、相応の強度が必要です。
『太刀もぎの鈎』は、敵の刀を受ける部分ゆえに、十手で最も力が掛かる部位です。
薄いということは、それだけ壊れやすくなります。
実戦用十手であるほど、より厚く大ぶりな『太刀もぎの鈎』を付けます。
前の本物の十手も、小ぶりながらしっかりとした『太刀もぎの鈎』が付けられております。
今回の十手は、この半分ぐらいの厚さで、なんだか不安になる鈎だと思いました。
4.握りにくさ
十手は武器なので、握りやすさやバランスの良さが大切です。
今回の十手は、細みに作られているために、若干の握りにくさがあります。
その部分は、やはり気になりました。
まあこの様に書きましたが、以前骨董市で購入した『3万円の贋作十手』に比べれば、今回のものはマシな出来の十手です。
3万円の贋作十手は、テンプレートの様な贋作でしたからねぇ。