３万円の贋物に１万円の本物
今回即決した十手、フォロワー様に伺ったところ、どうやら『本物の目明かし十手』のようです。
私は前の記事で書いた『分かりやすい特徴』を基に、狙っていました。
結局、我慢できず即決で、でも１万数千円ですのでそこまで高くありません。
今回は、その十手についてです。
◉項目
- 落札した十手
- 棒身
- 太刀もぎの鈎
- 緒付環
です。
１．落札した十手
こちらです。
シンプルな『目明かし十手』です。
全長は３５糎、定寸十手程ではないため、おそらく私物の十手だと思っています。
関八州の目明かしは実戦向きの十手を持つので、江戸の目明かしの私物十手だと思います（奉行所貸与品は定寸十手ですので）。
細身のためか、思っていたより重量感はありません。
棒身２２糎、握柄１０糎、緒付環３糎です。
実戦向きではありませんが、大振りな太刀もぎの鈎のおかげで、威圧感はあります。
細身のためか、若干の握りにくさはあります。
紐をつければ、問題無さそうです。
拭う程度で何度か拭きましたら、下地の銀色が見えました。
銀磨きにしたい衝動が...ね（今回はやりません）。
２．棒身
棒身は、若干先細りです。
また、機械工作では出せない曲線美もあります。
先端面には、よく分からない紋様があります。
三鈷杵のような、宗教的な何かですかね？
それとも、個人の定紋でしょうか。
３．太刀もぎの鈎
縦型で大振りなものが、付いています。
幅もそこそこあると思います。
この十手は、なんと言っても鈎の付け根ですよ。
しっかり『矩形の穴』が開けられています。
贋物では『円形、正円形』が多いので、これは非常に嬉しく、良い資料にもなります。
４．緒付環
おそらく『猪目形』です。
十手の緒付環形状では、結構多いものになります。
緒付環先端には、繋げた跡が確認出来ます。
緒付環は、棒身から打ち伸ばした軸芯をかしめただけではなく、菊座を１枚入れて、抜け落ち防止がしっかりと施されております。
ちゃんと水平回転環になっており、錆による固着もなく、クルクル回転します。
十手の緒付環（紐付環）は、猪目形で水平回転環 #十手 #jitte - YouTube
緒付環の付け方で記したように、緒付環は棒身から打ち伸ばした軸芯に入れ、軸芯先端をかしめます。
これの通りで、この十手の緒付環の軸芯は、おそらく打ち伸ばされています。
分かりにくいですが、握柄末端にはテーパーが確認でき、軸芯先端に行くにつれて細くなっています。
やっと本物がどう作られているか、分かりました。
記事タイトルは、前に購入した贋物の十手と、今回購入した本物らしき十手についてです。
鮫皮十手は贋物で３万円、今回の目明かし十手は本物で１万円、フォロワー様が仰られていたことを実感致しました。
十手愛好家を謳っているため、ようやく本物が入手出来てよかったです。
