破れ傘刀舟悪人狩りで見る『血振るい→納刀』
タイトル通りです。
今回は、画像よりも動画で見ていただいた方が分かりやすいため、私の動画付きツイートを中心に記事を書いていきます。
◉項目
- 袈裟の血振るい
- 横血振るい
- 逆手納刀
- 3本目『受け流し』の納刀
- 血振るい以外
- 縦納刀
先ず、どうして『破れ傘刀舟悪人狩り』に限ったかというと、破れ傘刀舟では全日本剣道連盟居合(以降:全剣連居合)の指導書にあるような『血振るい→納刀』を見ることが出来ます。
もちろん時代劇ですので、型は崩れていたり、色々異なりますが、『血振るい→納刀』を大切に扱っている作品は、本当に少ないと思います。
したがって、『破れ傘刀舟悪人狩り』に限ってご紹介いたします。
1.袈裟の血振るい
最も多い「袈裟の血振るい→納刀」。
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
柄を拭うのも良い。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/oe9zLvsvKs
これは基本的な血振るいです。
全剣連居合でも、居業(座った状態から行う型)では袈裟の血振るいを行います。
ただ、あくまでも時代劇ですので、型は崩されているように見えます。
このように、腕を横に伸ばして刀を握った手を頭部に近づけます。
そして、刀を振り、刀身についた血を落とします。
納刀は、横納刀です。
前述の通り基本的な血振るいですので、破れ傘刀舟悪人狩りではこの血振るいが最も多いです。
2.横血振るい
「横血振るい→納刀」、これは結構珍しい。
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
柄を拭うのも良い。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/5OhOHobSG7
これは、名の通り横に刀を振り血を落とします。
刀身を振るのではなく、腕ごと横方向に押し出す感じです(言葉が出てこない)。
全剣連居合では、立業(立った状態から行う型)に多い血振るいです。
横方向にパッと振り、横納刀をします。
納刀は、横納刀です。
- 第9話「遊女の挽歌」
- 第79話「生き胴斬り千両」
で、確認する事ができます。
3.逆手納刀
「逆手納刀」、珍しく柄を拭っていない。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/JzcVqDgQiW
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
逆手納刀(さかて のうとう)ですので、逆手(さかて)で納刀します。
納刀前に刀を横に振る動作が見られるため、横血振るいを行なっているように見えます。
- 第11話「鉄火肌恨み節」
- 第92話「狙われた女」
で、確認する事ができます。
4.3本目『受け流し』の納刀
「袈裟の血振るい」から、全剣連居合3本目「受け流し」で行う、「血振るい→納刀」。
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
柄を拭うのも良い。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/Iw3e153XRp
これは、全剣連居合の3本目と同じです。
このシーンでは、先ず袈裟の血振るいで納刀をした後、襲いかかった残党の1人を斬って、切っ先を下に向けて刀身の血を落とし、逆手に持ち替えて納刀します。
全剣連居合の3本目では『受け流し』なので、先ず鎬で敵の刀を受け流した後に斬り落とし、切っ先を下に向けて、逆手に持ち替えて納刀します。
- 第92話「狙われた女」
この話で、唯一確認することが出来ます。
5.血振るい以外
布を使う場合。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/ETTmMqIykt
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
これは、次作『破れ奉行』や、『長崎犯科帳』で行う『懐紙を用いて血を拭う方法』の基のようなものです。
破れ傘刀舟では、2回ほど敵の布や着物の袖で同田貫の血を拭うシーンがあります。
- 第13話「闇の黒幕」
- 第54話「男沼・女沼・恋の沼」
で、確認することが出来ます。
第13話「闇の黒幕」では横血振るいをした後に布で拭います。
第54話「男沼・女沼・恋の沼」では袈裟の血振るいをした後に、刀舟自身の袖で刀身を拭います。
また、萬屋錦之介さんは納刀後に柄を手で拭います。
これが地味ながら素晴らしいことで、全剣連居合では省略されますが、古流の型では納刀後にこの動作を行います。
これは『破れ傘刀舟』、『破れ奉行』などで確認できるため、意識して行なっていると思います。
※この動作は、柄についた血を拭うために行う。
6.縦納刀
伊庭弥九郎の「縦納刀」。#破れ傘刀舟#織田あきら pic.twitter.com/LmMkq3E5iy
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
これは、叶刀舟の弟子の伊庭弥九郎が行います。
彼は第21話「口八丁仁義」で、『示現流』だと分かります(叶刀舟は『無外流』の使い手)。
縦納刀は、
- 第2話「鉄砲傷が呼んでいる」
- 第14話「暗黒街のメス」
などで、確認することが出来ます。
今回は『血振るい→納刀』で纏めましたが、萬屋錦之介さんは『刀の受け方』も、鎬で受けているように見えます。
鎬で刀を受ける。#破れ傘刀舟#萬屋錦之介 pic.twitter.com/11F4zITqf1
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年10月16日
本来なら鎬で「受け流す」のですが、そこは時代劇ですので...。
しかし、刃で受けたり弾いたりするものが多い中、鎬で受けているあたりは、やはり素晴らしいです。
拘って、時代劇を作られておりますね。