柄巻きのある目明かし十手
内容は、先にまとめたアメブロの記事『 柄巻きのある目明かし十手 | 近江屋の御隠居・十手捕具関連メイン用 』と同じです。
こちらではまだ纏めていないため、纏めます。
まず、こちらです。
これは ヤフオクで購入しました。
柄巻きは革が巻かれておりましたが、あまりにも 劣化が激しかったため、その部分は剥がし革の下に巻かれていた麻縄部分のみ残しました。
- 全長:38糎、定寸十手(※)
- 棒身は先太り、黒錆は強めにかかっており、打痕も確認できる
- 太刀もぎ鈎は小型で、棒身にかしめ付けられている
- 握柄は末端に向かって太くなっており、柄巻きは麻縄を二重に巻き、和紙を貼り、なめし革が貼られていた
- 紐付環は楕円とも言えない不思議な形で、『 十曜紋 』と思われる紋様あり
※ ...『 定寸十手 』とは、十手を逆手に持ち腕に十手をピタリと付けた時、肘から一寸程度、十手棒身先端が突き出る長さの十手のこと。
棒身は打痕があり、鈎は傾いており、 紐付環片側の付け根は大きな傷があり左右不対照なので、今まで集めた十手の中で、最も粗い作りに思えます。
これはもしかすると、農具を主に製作している『 野鍛冶 』が製作した十手かもしれません。
握柄は、麻縄を二重に巻き、和紙を貼り、なめし革を張って仕上げられておりました。
麻縄を二重に巻くことで、仕上げた後の形が『 紡錘形 』になっており、握りやすかったです。
しかし先述の通り、革の状態がとても悪かったので、 その部分は取ってしまいました。
ただ、今の状態でも十分握りやすいです。
紐付環は、太くしっかりしたものが付けられております。
ただ、片側の環付け根に抉れた様な傷があります。
紐付環台座には、おそらく『 十曜紋(※)』と思われる紋様があります。
※...軸穴周囲に九個の窪みがあり、十個目は軸穴
この様な『 星紋 』は、武神を崇める妙見信仰から生まれたもので、七曜紋、九曜紋などがあります。
星紋の場合、十手には鍔に施すことが多い印象です。
また、この様な『 まじないの意味を持つ紋様 』は、紐付環本体や先端面、握柄に施しされることが多いため、紐付環台座に施されたものは初めて見ました。
これは、十手製作の依頼主が、この様に発注したと考えられます。
目明かし十手は、上級捕吏の十手の様な美しさや気品、彩りの良さはありませんが、シンプルな十手だからこそ、手作りならではの美しさがありますね。