もう少し十手を見てみる
昨日記事に致しました、目明かし十手(本物)についてです。
先端面の謎が、いつもお世話になっている骨董関連の大切なフォロワー様から教わり、何か判明致しました。
フォロワー様、毎回ありがとうございます。
まずは、昨日の十手をもう少し見てみます。
やはり、錆色も美しいです。
今回は骨董的な価値、時代的な価値を尊重しているため、銀磨きにする気はありません。
ただ、今の状態を保持しつつ、綺麗にはしたいです。
この十手、握柄にはしっかり錆が残っており、握柄は全体的に錆びています。
しかし、棒身は部分的にしっかり錆びている程度です。
そのため、部分的に地鉄の銀色が見えています。
これは、歴史を感じますね。
握柄ですので、そこがしっかり錆びてしまうのは当たり前です。
なんとなく、本物は錆方が似ている気がします。
6050円の十手と画像で比べたのですが、今までの贋物と、やはり錆方が異なると思います。
贋物は鋳造の様な感じだったり、鮫皮十手は黒革が残っていたりしていました。
今回の十手は、オイルを吹いて、布で軽く磨く程度をし、表面の汚れを落とすくらいの事をしました。
そしたら、緒付環はスムーズに回転するのですが、緒付環の菊座まで、回転するようになってしまいました(これは昨日は書きませんでした)。
菊座は座金ですので、回転するのは問題無いと思いますが、やっちゃったなぁ。
まあ多分あの6050円の本物も、画像見ると菊座が回転しそうですので、外れないのであれば大丈夫でしょう。
この菊座は装飾と緒付環の錆び防止、落下防止のためですので、中心軸から外れなければ問題は無いと思います。
さて、昨日は解決しなかった、十手棒身先端面のあの紋様についてです。
これが、解決致しました。
骨董関連のフォロワー様、本当にありがとうございます。
この部分ですが、これは『山伏が頭につける頭巾(ときん)』を模した物です。
このタイプの装飾を、『頭巾型(ときんがた)』と言います。
↓これが頭巾
十手先端面中央の不自然な窪みは、この頭巾中央にある窪みを模したものですね。
棒身横の一筋は、この頭巾の縁を表現した物ですね。
何故このような装飾をするのか。
それは、まじないのためだそうです。
十手には不動明王の降魔利剣や三鈷杵、五鈷杵を模した装飾を、施すことがあります。
降魔利剣なら刃鈎に、三鈷杵や五鈷杵は握柄や緒付環に反映させます。
十手に己の思想を反映させるのは、ちょくちょくあることで、今回の十手もそれと同じだと思います。
私の十手は山伏の頭巾を模したもので、フォロワー様曰く『陰陽五行のまじない的な装飾』のようです。
Wikipediaからの引用ですが、日本における陰陽五行思想は、このようになっています。
仏教儒教と同じ5世紀から6世紀に日本には暦法などとともに伝わり、律令により陰陽寮という役所が設置された。
その後、道教の道術を取り入れて、陰陽道へと日本独自の発展をした。
また、陰陽五行思想は年中行事にも強い影響を与えているとする説もある。
それによれば、正月は寅、盆は申となっており、それぞれ春、秋の始めを示す。
正月は木気、火気の始めでもあり、門松を飾ったり、とんど祭りをしたりする。
対して盆は水祭りとして燈籠流しなどが行われる。また、陰陽のバランスをとるためにとんどは水辺で行われ、燈籠流しは火を灯した舟を水に流す。
です。
これを十手に反映されたため、棒身先端面に頭巾型の装飾を、施したと思います。
当時の人々は今以上に信仰心が強いため、魔除け的な意味も併せて、このような装飾をしたのではないでしょうか。
いや~、まさか初めて購入した『本物の十手』が、ただの十手ではなく持ち主の思想を反映させたものだとは、思いませんでした。
十手は宗教的な一面も多くみられるため、そっちの方も知識を入れないと、行けなさそうですね。