伊賀の水月 感想
今回は先日視聴した、長谷川一夫さんによる「伊賀の水月」の感想です。
これは「伊賀越の仇討」こと「鍵屋の辻の決闘」を題材にした作品です。したがって「鍵屋の辻の決闘」は下記リンクの記事に述べてあります。
shumi-sonota-you.hatenablog.com
今回の「伊賀の水月」も基本は鍵屋の辻の決闘なのですが、これも史実やTVSP版の大川橋蔵さんによる「荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻」、高橋英樹さんによる「決闘鍵屋の辻 荒木又右衛門」と違う点がありました。
私が主に感じた違うところは
- 旗本奴「六方組」の登場
- 仇討の原因
- 槍の名手・桜井半兵衛の欠員
- 河合又五郎の設定
- 又右衛門の手裏剣設定
です。
1.旗本奴「六方組」の登場
「鍵屋の辻の決闘」は寛永11年11月7日に起こった仇討です。つまり江戸初期に起こったものです。江戸初期は「傾奇者(かぶきもの)」と呼ばれる町奴や旗本奴が登場した時期で町奴だと「幡随院長兵衛」が有名です。旗本奴だと「白柄組(神祇組?)」の水野十郎座衛門こと水野成之が有名です。今回登場した「六方組」もその一つです。
私は旗本奴関連の記事で「夏は厚着して鍋を囲み、冬は薄着して∼」というものを見たことがあります(ソースは忘れました)。この旗本奴「六方組」も同じようなことをしていました。
※映画では季節は冬でした。
時代劇に登場する大名旗本の次男三男の集団とはまた一味違った不良具合です。
2.仇討の原因
これは上記リンクの「天下の伊賀越 暁の決戦」と同じでした。又五郎が斬った相手は数馬の弟・源太夫ではなく父・靱負でした。また、その原因も又五郎が借金返済のために刀を持ち出そうとした際のいざこざでした。
「天下の伊賀越 暁の決戦」も同じ理由でしたので、鍵屋の辻を名乗らならない作品は父親の仇討ちになるのでしょうか。
3.槍の名手・桜井半兵衛の欠員
桜井半兵衛は河合又五郎の妹婿なので、結構鍵屋の辻の決闘関連の作品には登場していました。本作品と高橋英樹版「決闘鍵屋の辻 荒木又右衛門」も桜井半兵衛の欠員がありました。
4.河合又五郎の設定
上記の設定があったのか、又五郎に「宝蔵院流の槍使い」設定が加わっていました。これも初めて見た設定です。「決闘鍵屋の辻 荒木又右衛門」も同様です。
これまた渋い又五郎です。
5.又右衛門の手裏剣設定
今まで見た鍵屋の辻の決闘関連の作品では語られなかったと思います。
これでは柳生但馬守から授かります。但馬曰く「兄・十兵衛が使っていたもの」です。つまりは、但馬守は兄・十兵衛が使っていた手裏剣を又右衛門に授けたということです。
やはり仇討は当時の武士の鑑。それの助太刀をするわけですから、そのような大事なものを授けたのでしょうか。
全鍵屋の辻の決闘関連に共通しているところもありました。
それは
- 決闘時の武右衛門の死
です。
今回の伊賀の水月で武右衛門を演じた俳優は、長谷川一夫さんの御子息・林成年さんです。
林成年さんが演じただけあり、数馬より武右衛門の方にスポットが当たっている印象がありました。もちろん武右衛門役ですので、斬死します。
今回見た「伊賀の水月」は、今まで見た鍵屋の辻の決闘関連と違う点が多くあり、また仇討自体もあっさり終わった印象があり、他の鍵屋の辻の決闘関連とは一味違った印象を受けました。