今回は、「伊賀の水月 剣雲三十六騎」の感想です。これも前回の「伊賀の水月」同様に、「伊賀越の仇討」、「鍵屋の辻の決闘」関連の作品です。ただし前回の長谷川一夫さん主演の「伊賀の水月」とは別物です。
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一応「天下の伊賀越 暁の決戦」の記事も載せておきます。
今回も、前回見たものと前々回見たもの、大川橋蔵さんのものとの相違点を上げていきます。
私が本作品を見て感じた相違点は
です。
1.仇討の原因
これは上の二作品と同じで、弟・源太夫ではなく父・靱負が同じ岡山藩士・河合又五郎に斬られたことに湯織端を発します。
「鍵屋の辻の決闘」とか「荒木又右衛門」がタイトルについている作品は、渡辺靱負が斬られるのでしょうかね。それとも父親の仇討作品の方がウケがいいのか…?
2.柳生新陰流極意の伝授方法
又右衛門は姫路藩を浪人になるために本多大内記に柳生新陰流極意を伝授するのですが、今まで見た「鍵屋の辻の決闘」関連の作品は、又右衛門の失言に立腹した大内記が槍で又右衛門を突こうとしてもめているうちに、自然と大内記が極意を取得します。
しかし本作品では、大内記が真槍での稽古中に又右衛門がその槍を白刃取りし、
その実演後、又右衛門は巻物を大内記に渡し、彼は柳生新陰流極意を伝授します。
3.又五郎が甥、甚左衛門の設定
本作品では「河合甚左衛門」ではなく、「桜井甚左衛門」でした。また、又五郎の妹婿である桜井半兵衛と兄弟の設定でした。
桜井甚左衛門の演者さんは
羅門光三郎さんでした。
4.旗本連中の裁き
又五郎をかくまった旗本・阿部四郎五郎らは100日間の寺入りを命ぜられます。
しかし今作品では又五郎の江戸払い以外の御裁き無し。つまり旗本連中は無罪というわけなのです。
今作品の阿部四郎五郎らは、不良旗本感とか全くなしで、旗本の不当な扱いに苛立ち大名連中に一泡吹かせたいというような方々だったからかもしれないです。
しかしこれでは、岡山藩主・池田忠雄は死んでも死に切れないですね。
5.若党・武右衛門の死
これは全作品共通だったと思います。
確か史実の「鍵屋の辻の決闘」でも武右衛門は戦死すると思ったので、忠実にやっているのかもしれないです。
ただ、今作品だと又五郎、別の作品だと桜井半兵衛だったり、誰に斬られるかは決まってないみたいです。
6.甚左衛門VS又右衛門
又右衛門は、まず最初に親友である甚左衛門を不意打ちするのが史実みたいです。
しかし今作品や、上の二作品はそうではありませんでした。「天下の伊賀越暁の決戦」では二人の決闘シーンが仇討ではない別の場所で行われていたり、「伊賀の水月」では「伊賀の水月剣雲三十六騎」と同様、仇討の途中で甚左衛門を斬ります。
作品によっては「甚左、許せ。」と言ったりしています。
7.又五郎VS数馬
上の二作品や大川橋蔵さんの荒木又右衛門では、数馬を叱咤しながら助太刀し、最後まで又五郎には手をかけず数馬の力で又五郎を討たせます。
これが今作品では、又右衛門はなかなか又五郎を討たない(というより討てない)数馬を見かねたのか、又五郎に一太刀浴びせ、数馬にとどめを刺させます。
今回の「伊賀の水月剣雲三十六騎」、ここが一番た作品と違うところといってもいいかもしれないです。
今作品の又五郎も、「伊賀の水月」の又五郎と同様に槍を使っていました。
今まで見た荒木又右衛門では、阪東妻三郎さんの今作品の荒木又右衛門が一番カッコ良かった気がします。
大川橋蔵さんの荒木又右衛門さんと良い勝負です。