天下の伊賀越 暁の決戦 感想
今回は、「天下の伊賀越 暁の決戦」の感想です。
内容はタイトル通り、日本三大仇討の一つ「鍵屋の辻の決闘」で知られている「伊賀越えの仇討」です。これは、荒木又右衛門の36人斬りで有名です(実際に斬ったのは河合甚左衛門と桜井半兵衛の二人と言われています)。
本来のこの仇討ちは、岡山藩士・河合又五郎が同藩士・渡辺数馬の弟・源太夫に関係を迫るが拒否をされてしまい、又五郎が逆上して切り殺したことが発端です。その度又五郎は江戸へ出奔するのですが、旗本・安藤家にかくまわれてしまったことにより数馬、又五郎のもめ事から大名、旗本の衝突になりかねない事態になってしまうのです。その後、仇討をせざるを得なくなった数馬は、姉婿である郡山藩剣術指南役・荒木又右衛門に助太刀を依頼。奈良の旧郡山藩士の屋敷に潜伏していた又五郎は、危険を察知し江戸へ逃れようとする。この時伊賀路を通ることを知った数馬、又右衛門は道中の鍵屋の辻で待ち伏せることにした。又五郎一行は総勢11名で、槍の名手で叔父の河合甚左衛門、妹婿の桜井半兵衛を護衛に連れていた。一方数馬側は数馬、又右衛門と岩本孫右衛門、川合武右衛門の4名であった。この仇討ちは寛永11年11月7日(西暦1834年12月26日)早朝に始まったのだが、数馬、又五郎両名が剣術になれていないため5時間にも及んだという。(参照・Wikipedia)
天下の伊賀越 暁の決戦も、大まかな流れは上記の通りなのですが、覚えている限り大きく三か所異なりました。
その三か所は
です。
1.仇討ちの発端(河合又五郎が斬った相手)
本来は数馬の弟・源太夫を横恋慕から又五郎が殺してしまうのですが、本作品は数馬の父・靱負を己の悪行を隠蔽するために殺してしまいます。
2.荒木又右衛門と河合甚左衛門との決闘
これはやはり配役が大きいのでしょう。この両名が斬りあうのは仇討場所である鍵屋の辻ですが、荒木又右衛門役に市川右太衛門さん、河合甚左衛門役に月形龍之介さんと大スタアが演じていますので、この二人が直接、二人きりで決闘する場面が登場したのだと思います。
↑市川右太衛門さん
↑月形龍之介さん
3.又五郎一行の仇討ち時の行き先
これは私は尺の都合だと思います。一度江戸を離れ、再び江戸へ戻る道中で又五郎は斬られるのですが、ここまで忠実に映像化すると120分弱で収まらない、見せ場の仇討シーンが少なくなってしまうから、この辺は変えてあるのだと思います。
本作品では、又五郎の護衛として、腕利きの浪人7名が登場します。しかし、私はこの7名は必要ないと思いました。決闘シーンで又右衛門と戦わせることにより、又右衛門の強さを引き立たせるための「見せ場」を作るのは解りますが、あまりにもあっさりこの7名を倒してしまうので、味気ないような気がします。この7名と戦わせて又右衛門を引き立たせるのなら、護衛数を少なくしもっと鍔迫り合いがあればいいなと思いました。
また、本作品の河合又五郎役は岡田英次さんでした。鍵屋の辻が題材の作品はこれを含め2作品、知っている(配役がうっすらでもわかる)作品は2作品あるのですが、この計4作品中でも最も渋い河合又五郎になっていたと思います。あの喋り方と顔つきはすでに完成されていましたのですが、やはり少しお若いような気がしました。
↑岡田英次さん
そして、なんといっても渡辺数馬役に若き日の北大路欣也さん。市川右太衛門さんとの親子出演となり、又右衛門が数馬に檄を飛ばすシーンは、義兄弟というより親子のようでした。