BS松竹東急で、『(NET1974年版)右門捕物帖 』の放送が始まったので、気が早いですが、改めて後期OP( 第27話「おんな掏摸」以降 )について纏めます。
内容は、ほとんど以前纏めた記事と同じですが、今回は動画付きで記事を書きます。
◉前回記事
続・右門捕物帖(NET 1974年版)後期OPについて - 近江屋の御隠居の日録
※ 注意 ※
本記事では、1分15秒のOPを深掘りし、細部にも拘って纏めます。
そのため、長めの記事になります。
それでは、冒頭からです。
ここの十手の詳細についてです。
これら十手は、左から...。
- 世田ヶ谷代官・大葉彌十郎の鍔鈎十手
- なえし(棒十手)若しくは鉄製鼻捻
- 一角流十手
- 劇中プロップ・近藤右門の同心十手
- 火付盗賊改・長谷川平蔵宣以の鍔十手
- 町方同心の官給品・真鍮製銀流し十手
- 鍔十手(詳細不明)
です。
これら十手のうち、『 4.劇中プロップ・近藤右門の同心十手 』以外は、全て『 ナワ・ユミオ捕具コレクション 』です。
ここで、『 3.なえし若しくは鉄製鼻捻 』について、紐付環が水平回転環なら『 なえし(棒十手)』、紐付環が回らない紐付穴なら『 鉄製鼻捻 』と区別出来るため、どちらかは不明です。
また、私の勘ですが、これはもしかすると伝七捕物帳の『 黒門町の伝七のなえし(棒十手)』かもしれません。
ナワ・ユミオ捕具コレクションが画面外に移動すると同時に、『 4.劇中プロップ・近藤右門の同心十手 』がアップになり、メインタイトルが起き上がります。
ここで、『 一角流手棒目録 』が映ります。
これも、ナワ・ユミオ捕具コレクションの一つであるため、この時代劇の時代考証に名和弓雄先生が携わられていることが分かります。
北町奉行所が開門すると同時に、出役姿の右門、小者、他捕方が現れ、出役します。
これは『 捕物用長十手(打ち払い十手)』です。
両腕に、鎖籠手も確認できます。
こちらは、おそらく『 刃引きされた長脇差 』です(奉行所の備品)。
町方は文官役方(軍人以外の者)の職であるため、生捕りを基本とします。
そのため、出役時は刃引きの長脇差と捕物用長十手を佩用し、相手を生かしたまま捕縛します。
町方同心の出役時の服装では、白木綿の鎖入り二重鉢巻を前結びにします。
鉢巻の二重目では、戦闘時耳を切り落とされぬように、左右耳たぶの上半分を抑えて巻きます。
ここで、再び『 一角流手棒目録 』。
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一角流マロホシ
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鉄人流十手
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鉄手具(鉄盾)
が、確認できます。
鉤縄の実演(ブログ用)。#右門捕物帖#時代劇#杉良太郎 pic.twitter.com/cgvchqqm8A
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年12月15日
ここで、右門による鉤縄を使った捕物の実演が入ります。
こちらは、先に映像を見てください。
このシーンでは、暴漢の懐に鉤を打ち込み、相手を縄で絡み倒します。
下記は、実際の鉤縄の使い方例です。
鈎を打ちかけるには、すれ違いざまに帯や襟に打つ方法と、鈎と縄を右手に隠し持ち、投げて鈎を引っ掛ける方法がある。
縄をぴんと張ると刃物で切り離される危険があるので、縄を間断なく水平、縦、八の字に早く打ち払って、斬られぬようにする。
犯人が逃げかけると、縄を空間で大きく回して巻くように投げかけ、首や腕や胴を巻く。
右手の縄尻を高く上げ、左手を前に出し、低く縄を握ってぴんと張る。
左手の前の空間にある縄を、左足で強く早く地面に踏みつける。
弾力で犯人は、弾かれたように地面に横倒しに転倒する。
という事です。
つまり、鉤縄の使い方例の貴重な映像資料です。
今度は、『 南蛮一品流捕道具繪目録 』が映ります。
右から...。
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南蛮一品流の搦
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胴の火
です。
車松明を投げる右門(ブログ用)。#右門捕物帖#時代劇#杉良太郎 pic.twitter.com/hzJO8pMg7S
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ここでは、右門が逃げる賊に向かって『 車松明 』を投げます。
賊の前に車松明が落ちますが、賊は車松明を越えて逃げていき、捕方が車松明で足止めを食らってしまっています。
車松明
一尺(約30糎)ほどの長さの棒状松明を三本、中心を丈夫な紐で縛り合せ、先端が六方向に向くように、球状に固定する。
六つの先端に点火して暗闇中に投げれば、地上に転がっても消えることは無く、賊の姿を明々と照らし出す。
常に現場を明るくするので、賊を見失うことがない。
車松明を投げる場合、十手を逆さに、棒身の先を握り、太刀もぎの鈎に松明を引っ掛けて投げることもあるし、鈎縄の鈎に引っ掛けて縄を持って振り回して投げる方法もある。
上記の通り、車松明は足元を照らすために用いるものなので、賊を足止めされるためでは無さそうです。
ここで、再び『 一角流手棒目録 』。
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カラシバリ
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國渡口傳(不明)
不明(ブログ用)。#右門捕物帖#時代劇#杉良太郎 pic.twitter.com/OC3JHzY8ep
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次は、右門の柔術の一例です。
柔術の知識はありませんので、私は何をやっているか分からないです。
大捕物の実演(ブログ用)。#右門捕物帖#時代劇#杉良太郎 pic.twitter.com/fte6bhgxom
— 近江屋の御隠居 (@oumiya_goinkyo) 2022年12月15日
大捕物の実演です。
まず、伝六(右門の小者)を筆頭に捕方が走ります。
捕方は『 袖搦 』、『 刺又 』、『 突棒 』の捕物三道具に加え、『 寄棒 』、『 梯子 』も持っています。
相手が容易に召捕れない時は、梯子や大八車で相手を包囲し、徐々に間隔を詰めて長柄の捕具で相手を追い詰めます。
捕物は同心が中心で、普段の訓練により、手下の小者と同心は一糸乱れぬ行動をとったようです。
罪人に縄を打つのは、同心が行ったようです。
居業四方斬り(ブログ用)。#右門捕物帖#時代劇#杉良太郎 pic.twitter.com/0xS6dIhJZn
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『 一角流手棒目録 』の最後の項から、居業四方斬りです。
居業四方斬りは、まず左後方の相手が刀を奪うと同時に膝で鍔を押さえ、相手が刀を奪う勢いを使って抜刀します。
そして、刀を奪おうとした左後方の相手を突き、右前方を斬り、左前方を斬り上げ、右後方の順で斬ります。
これは、どの流派の居業の四方斬りなのかは不明です。
◉引用元
以下、敬称略
この『(NET1974年版)右門捕物帖 』も、杉良太郎さんがとにかく拘って作られた作品ということが、よく分かります。
十手を懐中に逆手に持って仕舞う(十手袋に入れるためか)、真鍮製銀流し十手の使用、これらはおそらく、この右門捕物帖が時代劇で初だと思います(破邪顕正の構えは72年日テレ版『 伝七捕物帳 』が先)。
前期OPでも、ナワ・ユミオ捕具コレクションの『 町方同心の官給品・真鍮製銀流し十手 』が一瞬映りますし、雨の中の張り込みシーンでは劇中プロップの同心十手が映り、OPだけで十手を2種類持っています。
後期OPもですが、この右門捕物帖は同心暁蘭之介同様に、『 捕物の教科書 』のような作品だと思っています。
これからご覧になられる方は、是非チェックを。