貴重な『蟹目式薬莢』の登場回
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この上記事で、その『蟹目式薬莢を使う鉄砲』の紹介はしています。
今回は、その鉄砲を紹介しつつ内容の補填もします。
先ず、蟹目式薬莢はこの話に登場します。
右門捕物帖(NET1974年版)
第25話「影を斬る男」
新式鉄砲をめぐる商人と藩士の争いと、鉄砲鍛冶を辞めた男の悲劇。
腕の良い鉄砲鍛冶・弥平は「蟹目式薬莢」を使い速射可能な新式鉄砲を開発したが、この鉄板を狙っていた商人・橘屋によって妻を失ってしまう。
妻を失ったショックから、弥平は鉄砲鍛冶を辞めた。
しかしそれでも新式鉄砲を諦めない橘屋、だがそこに新式鉄砲に目を付けた藩士たちも登場、藩士たちが邪魔な橘屋は藩士の手下のならず者を始末する。
ならず者の一件を探る北町定町廻り同心・近藤右門、彼も邪魔になった橘屋は罠を仕掛けるが、それによってならず者殺しの犯人としてバレてしまう。
事を急いだ橘屋は弥平の娘と恋人を人質にとって、弥平に無理矢理新式鉄砲を作らせようとするが、またもやそこに藩士たちが、さらに右門まで現れた。
右門は橘屋の手下を始末し娘と恋人を助けるが、弥平はこの一件にケリを付けるために、橘屋の蔵にある火薬に火をつけて、橘屋と藩士を道連れにして爆死した。
この話に登場した『蟹目式薬莢』は、こちらです。
アップにすると、このようになっています。
赤丸は、蟹目式薬莢で撃発する部分のピンです。
これは、私からすれば意外であり、貴重なものが見れてとても嬉しいです。
『蟹目式薬莢』、横文字にすると『ピンファイア』で、この蟹目式薬莢を使う実銃は『ルフォーショー・リボルバー』というものです。
ヨーロッパ産の輪胴回転拳銃で、軍用、民間用と様々作られていたそうです。
シカゴレジメンタル様のブログを参照にすると、このように分けられていた良いです。
- ファーストタイプ:軍用
- セカンドタイプ:ラグジュアリーモデル
- サードタイプ:民間用
ルフォーショー・リボルバー開発史 その3 | Chicago Blog
また、ダブルアクション可能なルフォーショー・リボルバーも開発されていたようです。
この話に出てきた蟹目式薬莢対応鉄砲は、至って普通な鉄砲です。
これは、おそらく管打ち式(パーカッションロック式)の短筒ベースのプロップだと思います。
この鉄砲は、劇中では以下のように使っておりました。
①:薬室を開く
②:蟹目式薬莢を装填
③:薬室を閉じる
④:発砲
です。
劇中では確か描かれていなかったのですが、排莢は手動だと思います。
記事タイトル通りですが、『蟹目式薬莢』は滅多に登場しません(もしかすると右門捕物帖第25話が唯一?)。
しかし、ルフォーショー・リボルバーは時々登場します。
私が何年か前に見た嵐寛寿郎さんの『鞍馬天狗』で、鞍馬天狗が持っていたピストルが、ルフォーショー・リボルバーでした。
大友柳太朗さんの『解決黒頭巾』、本作で大友柳太朗さんが持っている短筒も、ルフォーショー・リボルバーでした。
若山富三郎さんの賞金稼ぎシリーズ、これの『賞金首 一瞬八人斬り』で富三郎さん演じる錣市兵衛がストック&狙撃鏡付きで持っていた短筒も、ルフォーショー・リボルバーでした。
東映の小道具に、ルフォーショー・リボルバーのプロップがあるのかもしれないですね。
このルフォーショー・リボルバー、カービンタイプもちょくちょく登場します。
このタイプの登場作品を、分かる限りで以下に示します。
蟹目式薬莢、これは直ぐに廃れたようです。
その原因は、蟹目式薬莢はピンを打撃するゆえに暴発しやすく、またピンをシリンダーの溝に合わせる必要があるため装填に時間がかかる、組み立てにコストがかかってしまうため、直ぐに無くなってしまったようです。
右門捕物帖第25話でも、この薬莢が暴発するシーンが描かれておりました。