鬼平犯科帳:鬼平配下の捕物用長十手の謎
まず、お詫び致します。
下記記事で、来年新作鬼平が~と書きました。
鬼平犯科帳・長谷川平蔵の十手を探る!! ~追悼・中村吉右衛門さん~ - 近江屋の御隠居の日録
しかし、新鬼平の公開は2024年、来年(2023年)の公開は仕掛人藤枝梅安でした。
間違った情報を流してしまい、誠に申し訳ありませんでした。
新作鬼平犯科帳のキャストが出ないわけです、1年公開日を間違えているのですから...。
と言う事で、今回は中村吉右衛門さんの鬼平犯科帳で、配下の与力同心たちが使う「捕物用長十手」についてです。
◉項目
こうなりました。
1.実際の火付盗賊改の十手とは
これはN回目になるため、ご存じの方は2又は3まで飛んで大丈夫です。
火付盗賊改と言うのは、江戸初期に設立された特殊警察です。
凶賊が多い時期に設立されたため捜査範囲は広く、町方(町奉行)のように面倒な手続きもなく、怪しければ武士、僧侶、町人など身分関係無しに捕縛・取り調べができる特殊な組織です(なので悪役が多い)。
凶賊撲滅などの目的で設立された組織ゆえ、火盗改は強大な権限を持っていると思います。
有名どころでは、今回のテーマの鬼平こと「長谷川平蔵宣以」、初期の火盗改で当時大問題となっていた傾奇者(かぶきもの)集団「大小神祇組」を壊滅に追い込んだ、鬼勘解由こと「中山勘解由直守」などです。
この組織が使用する十手には「官給制度」がなくおそらく自作したものを使用しています。
火盗改は凶賊相手の役職ゆえ、実戦向きであれば採用されたそうです。
傾向としては、以下の通りです。
- 鍔十手(鍔付き十手)
- 鍔鈎十手
- 鍔付き鈎付き十手
- 握柄のみの十手
です。
大きさも、45糎〜60糎程の大振りな十手が多く発見されています。
2.4代目長谷川平蔵の十手
4代目長谷川平蔵の十手は、下記の2種類です。
- 上方役人風の鮫皮十手
- 長谷川平蔵仕様の鍔十手
です。
初期は鮫皮十手で、後に鍔十手になります。
TV版でも鍔十手は使用します。
私は、さいとう・たかを先生の鬼平犯科帳で、鬼平が持っている十手は、中村吉右衛門さんの鬼平十手を基にしたと思っています。
太鼓胴鈎、鮫皮の握柄、先細りで八角形の棒身など、重なるところが多いです。
3.4代目鬼平配下の火盗改十手
やっと本題に入ります。
これがですね、謎です。
3代目鬼平犯科帳までは、鍔十手や鍔付き鈎付き十手など、火付盗賊改らしいものを使います。
4代目鬼平犯科帳の十手画像は、はっきり確認できるシーンがないため、ありません。
大捕物で十手を確認することは出来ますが、十手を使っている程度で、どんな感じのものかまで確認することは出来ませんでした。
自分が見た感じでは、藤巻十手が多く見られ、その中に「仕置屋主水十手」こと「楠流十手」があると思います。
何と無くですが、1つは楠流十手で、もう一方は楠流十手に似た藤巻十手を使っているように見えました。
こればかりは資料がさっぱりゆえ、何かしらの手掛かりが欲しいです。
余談ですが、火付盗賊改長官は御先手組の長官が兼任するため、「加役」と呼ばれることがあるそうです。
治安維持関連は老中支配なのですが、御先手組は若年寄支配ゆえ、火盗改も若年寄が上司になります。
町方が「役方」に対して、火盗改は「番方」であるため、捜査も苛烈を極めたと思います。