江戸シリーズ:辰蔵&勘八の十手の謎
謎です。
ええ謎ですよ。
同心部屋御用帳江戸の旋風から登場する、定町廻り同心:千秋城之介の小者(下っ引き)・勘弁の勘八、江戸の渦潮にのみ登場する、元ヤクザで今は唐木同心親子の下っ引き・辰蔵、彼らが使う十手は、まさかの特徴がありました。
彼らが使う十手は、以前も記事にした仕置屋主水十手こと楠流十手に似た形の、このような十手です。
特徴を以下に述べます。
全長は約60糎で、全体的に細く、先端にかけて先細りになっている。
棒身は刀奪いの鈎から半分まで四角形、そこから先端面までは面取りがされており八角形になっている。
手の内(持ち手)には藤が巻かれており、四角形で緒付環付け根まで同形、緒付環は正円形である。
刀奪いの鈎は、縦型で直角、大振りに作られており、横手と立ち上がり部で幅が異なり、横手の方が太くなっている。
また、刀奪いの鈎の立ち上がり部は、薙刀のようになっており、刃鈎と思われる。
↓横手の場所
です。
最後の1行は、今回の本題でもありますので、文字の大きさと色を変えました。
そうです。
おそらく、『刃鈎(はかぎ)』と言う、特殊な形状の刀奪いの鈎になっているのです。
この『刃鈎』というのは、名和弓雄先生が命名したもので、鈎の立ち上がりの表と裏の中心線に鎬をつけ、肉どりを厚くし、鎬から刃先に向けて肉どりを薄くしている刀奪いの鈎です。
↑ネットで拾った画像です。
辰蔵&勘八の十手は、鈎周辺のアップになると、その形であることが確認出来ます。
鈎の立ち上がり部が、日本刀の切っ先や薙刀のようになっているのが、確認できると思います。
これがある利点が、自分には分かりません。
本を見てみたのですが、特徴やその鈎がある十手の傾向は載っていても、利点までは無かったです。
これは自分の考察ですが、刃鈎にする事で、鈎で刀を押さえた時、鈎が刀に当たる面積が稼げるため、刀をより強く押さえられる、刀を折りやすくなるのだと思います。
辰蔵は、十手で相手の刀の刀身を圧し折ることがあります。
やはり、刃鈎にして鈎が刀身に当たる面積を稼ぐ事で、十手で刀が折りやすくなるのでしょうか?
༼⍨༽
...不思議です。
刃鈎も不思議ですが、なぜ時代劇の十手にそのような特殊な刀奪いの鈎をつけたのか、不思議です。
岡っ引きが主役の時代劇ならまだ分かりますが、江戸の旋風と江戸の渦潮は同心たちが主役なので、どうして岡っ引きの十手までそうしたのか、不明です。