野獣死すべし:自分なりの考察
タイトル通り、自分なりの考察です。
考察と書きましたが、自分なりの結論の方が合っているような気がします。
まず、結果から。
だと思います。
...ええ、夢オチだと思います。
なぜ夢オチか、私は、伊達邦彦(松田優作さん)が、電車内で柏木刑事(室田日出男さん)に話した『リップ・ヴァン・ウィンクル』の話がヒントだと思います。
このシーン、松田優作さんは一切瞬きせずに淡々と話すんですよね...。
この『リップ・ヴァン・ウィンクル』は、このような話です。
ある日リップは猟のために出かけ、深い森の奥の方へ行きました。
リップはそこで小人と出会い、その小人について行きました。
リップはその小人から、大変美味しい酒をご馳走になり、何度も呑んでいるうちに眠くなり、眠りに落ちてしまいました。
リップはそこで、「どんな狩りでも許される」夢を見て、夢の中での狩りを楽しみました。
この狩りがクライマックスに達する直前、リップは夢から覚めるしまいました。
リップは辺りを見回すと、森の様子は少し変わっており、小人もそこにはいませんでした。リップは村の妻に会うために急いで森を出ましたが、村の様子も変わっており、妻はとっくに亡くなっていました。
と言う話です。
外国版浦島太郎のような話です。
ちなみに、ここで登場した酒は、「X・Y・Z」と言う酒です。
標準的なレシピは、「ラム:コアントロー:レモンジュース=2:1:1」です。
ここで、リップは見たのは「どんな狩りでも許される」夢です。
私は夢オチと言いました。
そのため、伊達邦彦は眠っていたと言うことになります。
以下に、そのように思った経緯を、内容込みで書きます。
伊達邦彦は、刑事殺害&闇カジノ強盗後、コンサートに行きます。
このコンサート中に、伊達邦彦は眠りに落ちたと思います。
その後、伊達邦彦は社長秘書・華田玲子と出会ったり、柏木刑事に追いかけられたり、大学の同輩との同窓会に参加したりしながら、銀行強盗の計画を、綿密に練ります。
同窓会場で銀行強盗の相棒に良いと思った男・真田(鹿賀丈史さん)を見つけ、強盗計画に誘います。
遂に起こった銀行強盗。
ここで伊達邦彦は、偶然居合わせてしまった華田に、持っていたSAAの引き金を引き、撃ってしまいます。
この銀行強盗後、神田へ向かう地下鉄内で、再び伊達邦彦は柏木刑事と会ってしまいます。
そのまま伊達邦彦を追う柏木刑事。
熱海へ向かう予定だったが、柏木刑事についた嘘もあってか、東北へ向かう電車に乗り、北上します。
そして、電車内でのシーンです。
伊達邦彦に拳銃(ローマン)を向け、柏木刑事は令状なしで取り調べを行いますが、背後から真田が銃口を近づけたため、立場逆転してしまいます。
ここで伊達邦彦は、拳銃の銃弾を1発のみ残し、ロシアンルーレットをしながら「リップ・ヴァン・ウィンクル」の話をします。
カチッ!カチッ!と空撃ちが連続し恐怖に震えるなか、柏木刑事はどんな酒だ?と質問します。
そこで伊達邦彦は酒のレシピを教えます。
レシピを教えた後...。
柏木「...エックス・ワイ・ゼット...!」
伊達「そう...『これで終わり』って酒。」
ここで引き金を引きますが、空撃ちでした。
伊達邦彦は眠りそうになります。
その隙を狙って逃げる柏木刑事を、伊達邦彦は撃ち、始末します。
その後、異変を感じやってきた車掌、乗客を撃ち殺します。
伊達邦彦の狂気に焦った真田をなだめ、電車内から一時撤退します。
逃走中、洞窟内に逃げ、そこで真田和姦しているアベックの男を殺し、女は犯します。
この光景に異常に興奮しシャッターを切りまくる伊達邦彦、自分がインドシナで見た光景を、話します。
そして、自分が戦場で見た光景と、目の前を重なった時、伊達邦彦は真田を殺します。
そうして、伊達邦彦は目覚めます。
目覚めた時には、コンサートは終わっていました。
周りには誰もおらず、また今までは何だったのか?と不思議に思う伊達邦彦。
この後すぐ、作品は終了します。
ここまで書けば、なんとなく察してくださると思います。
- 伊達邦彦が銀行強盗やその後に行った殺戮、これは全て「どんな狩りでも許される夢」で思った出来事だと思います。
- 洞窟内のシーンは、最後イマイチよく分からないところで終わりますが、これは夢のクライマックス直前だと考えます。
- また、伊達邦彦が目覚めた後、周りを見回したりしたのは、リップの森同様に、何かが変化したからだと思います。
- 銀行強盗中、華田玲子を撃ち殺したのは、実は妻になる(予定の)人物で、これは目が覚めた時には、もう妻が死んでいることの暗示
私はそのように感じ、考えました。
ここまで書いて思ったのですが、じゃあ最後(コンサート会場を出た後)の柏木刑事と、撃たれるような伊達邦彦はなんだ?という事です。
これは、夢の内容があまりにも生々しく強烈であったために見た、伊達邦彦の幻と思います。
なぜ幻か?
それは、「伊達邦彦が一切出血せずに、倒れるから」です。
当時の角川的に、そんなところに手を抜く事はしないと思います。
まあつらつら書きました。
拙い長文で、失礼致しました。